みなさんは、いつごろから「サンタクロースなんていない」と信じるようになりましたか?
これから書くお話は今から111年前の実話です。
じっくり読んでみて下さい。
1897年。ニューヨークに住む8歳の女の子の物語です。名前はヴァージニア・オハンロンと言います。
8歳というと小学校の一・二年生でしょうか。
ある日、学校で友達がこんな事を言いだします。
「ぼく知ってるんだ。サンタクロースなんてほんとうはいないんだぜ!」
みなさんもこんな体験をされてませんでしたか?
ヴァージニアは納得できなかったのでうちに帰ってからお父さんに聞いて見ました。
するとお父さんは「サン新聞に聞いてみなさい」と言いました。
ヴァージニアはサン新聞宛てに手紙を書くことにしました。
こんにちは。
私は八さいです。サンタクロースなんかいないって友達は言います。サンしんぶんに書いてあることならほんとうだとパパはいつも言っています。ほんとうのことを教えてください。
ヴァージニア・オハンロン西95番通り115
この手紙を受けたサン新聞は
1897年9月21日の社説に返事を掲載しました。
お寄せ頂きましたお手紙に対するご返事を次のように広くご紹介いたしますことを嬉しく存じます。また、手紙を書かれた心熱き少女を、わがサン紙の執筆陣に迎えましたことを喜びとするものであります。
★この間にヴァージニアの手紙が紹介され、続いて返事が書かれています。
ヴァージニア、君の友達はまちがってるよ。その子たちはなんでも疑ってかかろうとする懐疑主義に毒されているのだ。そんな人は自分の目で見ないと信じないのだね。自分の小さな頭で理解できないものはみんな存在しないものだと考えているのだよ。人の精神というものはね、ヴァージニア、おとなでも、子どもでも小さいものなのだ。この広大な宇宙では人間というものは、その知力にかけてはただの虫、ありみたいなものなのだよ。人間をとりまく無限の世界と比べてごらん。あらゆる真実と知識を意のままに把握することのできる神の知力と比べてごらん。
そうだよ、ヴァージニア、サンタクロースはいるのだよ。愛、思いやり、ひたむきな心というものがあるように、サンタクロースもいるのだ。こういった心をもっている人はたくさんいて、君の人生に無上の美と喜びをもたらしてくれるじゃないか。サンタクロースのいない世の中なんて、そんなのはさびしいじゃないか。ヴァージニアみたいな子がいなければこの世の中がさびしくなるのと同じことだよ。子どもらしい心、詩、ロマンスがあるからこそ、この世のつらいこともがまんできる。手でふれたり、目で見る以外に喜びというものがなくなってしまうじゃないか。子供時代に世界を満たしている不思議な光も消え失せてしまうだろう。
。
サンタクロースを信じないって! 妖精も信じないのかな。パパに頼んで人を雇ってもらい、クリスマスのイブ、あちこちの煙突を見張ってもらったとしよう。サンタクロースが煙突を降りてくるのを見なかったとしても、それがどんな証明になるだろう。だれにもサンタクロースは見えないんだ。でもそれでサンタクロースがいないって証拠にはならない。この世で一番ほんとうのものというのは、子供にもおとなにも目には見えないものなのだよ。妖精が草の上で踊っているのを見たことがあるかい。もちろん、ないさ。でもそれが妖精はいないという証拠にはならない。この世の中にあるもので、目に見えないすばらしいものをすべて頭に描いたり、想像したりするということはだれにもできないことなのだよ。
あかちゃんのがらがらをこわせば、どうして中から音がでるのか調べてみることはできる。でも、目に見えない世界をおおっているベールがあって、これは世の中の一番の力持ちのそのまた一番の力持ちがみんなで力をあわせても引き裂くことはできないのだよ。このカーテンを開けて天上の美とその向こうにある栄光を目にすることができるのは、信じる心、想像、詩、愛、ロマンスだけなのだ。これらは現実に存在するものだろうか。ヴァージニア、いいかね、これらほど、ほんもので変わらぬものはこの世にないのだよ。
サンタクロースがいないって! とんでもない。サンタクロースは永遠に生きているのだよ。ヴァージニア、これから千年後、いや、一万年の十倍たったときでも、サンタクロースは子供たちの心によろこびをもたらし続けてくれるのだよ。(フランシス・チャーチ)
その後ヴァージニアは47年間教壇に立ち1971年5月13日他界しました。その時、ニューヨークタイムスは1面トップに『サンタの友達、ヴァージニア・オハンロン亡くなる』と、最も有名な社説を書かせた彼女の追悼記事を掲載したという。
みなさん如何でしたか?
心眼が開けれたような感覚を覚えませんでしたか?
肉眼的現実主義の方には見えない世界なのです。
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