2010年05月27日

SS(シー・シェパード)元船長 初公判 その1


 《国際条約に基づく合法的な日本の調査捕鯨活動に対する妨害行為が初めて裁かれる−。環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」のメンバーによる日本の調査捕鯨妨害事件で、艦船侵入や傷害など5つの罪に問われたSS抗議船「アディ・ギル号」元船長、ピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)の初公判が27日午前10時2分、東京地裁(多和田隆史裁判長)で始まった》

裁判長「名前を述べてください」
被 告「ピーター・ジェームス・ベスーンです」
裁判長「生年月日はいつですか」
被 告「1965年4月4日です」
《女性通訳のやや早口の通訳の後、速やかに答えていくベスーン被告》
裁判長「国籍はどこですか」
被 告「ニュージーランドです」
裁判長「日本における住所はありますか」
被 告「ございません」
裁判長「職業は何ですか」
被 告「キャプテン(船長)です」

ここで検察官が起訴状朗読

裁判長「それではこれから事件に対する被告の陳述に入ります」
《いよいよ罪状認否が始まるようだ。多和田裁判長は、黙秘権について説明した後、ベスーン被告に語りかけた》
裁判長「それでは尋ねます。先ほど検察官が読み上げた起訴状の事実について、どこか違うところがありましたか」
被 告「はい。まず傷害罪については否認します。私はいかなる人にも傷害を負わせる意図はなかったからです」
《ベスーン被告は引き続き、落ち着いた様子で、通訳の方を見ながら発言を続ける》
被 告「あと、酪酸入りの瓶を投擲(とうてき)したことは認めますが、その背景については、いろいろ事情があるので、審理の中で明らかにしていきます。銃刀法違反は認めます。ネットを切断したことも認めます」
裁判長「艦船に侵入した事実も認めますか」
被 告「第2昭南丸の中に入ったことは認めますが、それには正当な理由がありました」
《通訳を挟んでいるためか、質問がややかみ合っていないようだ。多和田裁判長が再度尋ねる》
裁判長「侵入防止用ネットをナイフで切断して、艦船に侵入した事実も認めますか」
被 告「はい」
《多和田裁判長は納得したようだ。弁護人の意見を尋ねる》
弁護人「傷害の故意、因果関係、結果の程度については争い、そのほかの事実については認めます」
検察官「被告は1965年、昭和40年にニュージーランドに出生し、同国内に妻子が居住しています」
《続いて検察官は、調査捕鯨についての説明に入る。財団法人「日本鯨類研究所」は農林水産大臣の特別許可を受け、南極海で定期的に調査捕鯨を行っている。また、検察官はSSの活動についても触れた》
検察官「SSは平成18年1月ごろから毎年、捕鯨調査を妨害するためにロープを投下してスクリューにからませたり、酪酸入りの瓶の投擲(とうてき)、船内への侵入などの行為を行っています」
《酪酸は菓子やアルコール飲料の香料として使われる液体で強い臭気があり、SSが妨害行為に使用しているものだ》
検察官「被告は21年7月ごろからSSに入り、同年12月からアディ・ギル号などで妨害行為を行っていました。鯨類研究所は21年11月から22年4月まで、調査母船「日新丸」など5隻の調査捕鯨船団を南極海に派遣しました。SSは21年12月17日ごろから、アディ・ギル号などでガラス瓶の投擲やレーザー光線の照射などの方法で、捕鯨調査への妨害を行っていました。被告は、SSによる妨害排除業務を行っていた乗組員らの近くに酪酸入りのガラス瓶をランチャーで投擲して破裂させ、強い異臭や刺激をもたらす酪酸の影響で乗組員らの業務を妨害しようと企てました。そこで21年2月1日午後11時ごろ、ゴムボートで第2昭南丸の左方から接近し、甲板上に多数の乗組員がいることを現認しながら、ランチャーを使い、目や皮膚に接触すると熱傷の原因になる危険な液体である酪酸入りのガラス瓶を発射したのです。これにより、○○(乗組員、法廷では実名)は顔面に全治1週間の化学熱傷を負い、他の乗組員らも痛みで目が開けられないほどの症状でした。第2昭南丸とアディ・ギル号が衝突した責任を追及するという名目で、第2昭南丸の船長らと接触する場面を、SSを取材するために同行していたドキュメンタリー番組のカメラマンに撮影させるなどの目的で、同船に無断で侵入することを企てました」
《検察側の冒頭陳述は約15分で終了。ベスーン被告は、後ろを振り向いて弁護人に何か問いかけている。この後、証拠について多和田隆史裁判長が確認した》
裁判長「甲号証は44点を請求されるということですね」
検察官「はい」
裁判長「弁護人は、医師作成の診断書は全部不同意で、乗組員の調書は同意するが信用性を争うと。被告の調書は任意性を争わないが、信用性を争うため一部不同意ということですね?」
弁護人「はい」
裁判長「検察官、被告の供述調書の不同意部分はどうしますか」
検察官「被告の署名もありますし、刑事訴訟法に基づいて請求します」
裁判長「では、刑事訴訟に基づいて採用します」
弁護人「調査捕鯨については、国際捕鯨委員会から捕殺を伴う調査捕鯨の中止を要求する決議が複数回にわたって出されているように、これに反対する意見が国際社会において有力に存在しています。また、わが国でも賛否両論の意見が存在します。被告は、調査捕鯨が国際捕鯨取締条約に違反するものと考え、これを阻止するためにSSの一員として妨害行為に参加していました。被告は人に傷害を負わせようという気持ちはなく、酪酸を投擲することで乗組員がこの異臭を除去する業務に追われ、第2昭南丸がスティーブ・アーウィン号(SSの抗議船)に接近することを阻止しようとしたのです。また、被告は酪酸が人体に傷害を及ぼす可能性のある物質との認識はなく、むしろリンゴやレモンよりも酸度が弱いものとSSのメンバーから知らされていたのであり、酪酸が人体に傷害を及ぼす危険性についての認識はありませんでした」
《また、乗組員のけがとの因果関係についても疑問を呈した》
弁護人「酪酸瓶が命中した壁面と○○のいた位置は直線距離で約8・5メートル離れており、また、○○はフェースガードのついたヘルメットをつけており、被告の行為と○○の傷害との間に因果関係を認めることは、合理的疑いを差し挟む余地があります」
《さらに、ナイフを所持していた銃刀法違反罪については、「東京港に到着した後、海上保安官にナイフを所持していることを自ら申告しており、自首が成立します」と主張した》

その2へ続く その3 その4 その5  
posted by 大翔 at 16:58 | 青森 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 裁判 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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