2010年05月27日

SS(シー・シェパード)元船長 初公判 その2


《検察側、弁護側双方の冒頭陳述が終了し、検察官による証拠調べが始まった。検察官は、ゴムボートに乗船したピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)の写真や被害者の写真などを提示していく。法廷内の大型モニターに写真や、ベスーン被告が侵入した「第2昭南丸」の船内の見取り図などが映し出される。検察官ははっきり通る声で説明していく》
検察官「これは各船の位置を図面に落としたものです。画面に映します」
《調査船団とシー・シェパード(SS)抗議船「スティーブ・アーウィン号」やゴムボートなどの位置が図示された》
検察官「被告のゴムボートはスティーブ・アーウィン号から出て、第2昭南丸に向かってきました。この写真ではスキンヘッドが特徴的な被告の姿が確認できます」
《ゴムボート上のベスーン被告の姿が確認できる写真が映し出された。検察官の「スキンヘッドが特徴的な」の表現に、傍聴席から少し笑いも聞こえる》
検察官「2月11日10時55分の時点から説明します。ゴムボートは第2昭南丸の右から接近し、右手で何かを投げました。今度は左側から接近し、また何かを投げました。どちらもネットに遮られて届きませんでした。すると被告はランチャーを取り出し、酪酸入りの瓶を発射しました」
《ベスーン被告は、背筋を伸ばしたり、前屈みになって両肘をひざの上に乗せて両手を握ったり、少し落ち着かない様子で検察官の説明を聞いている》
《続いて、酪酸を浴びた乗組員の男性が第2昭南丸に乗船していた当時の服装の写真が映し出された。白色のヘルメットにオレンジ色のライフジャケット姿だ。検察官はヘルメットの現物も提示した》
検察官「ヘルメットのフェースガードは開閉式です」
《弁護側が主張する「乗組員はフェースガード付きのヘルメットを着用しており、酪酸でけがをしたことには合理的な疑いが残る」などとする主張に反論する意図があるようだ》《乗組員の姿が再び映し出された。手に放水銃を持っている。検察官は、放水銃で放水される成分の分析結果も説明。刺激物は含まれていなかったとした》
検察官「液体が放たれた後、緑のペンキはまだらに変色しました」
《ベスーン被告が投げた酪酸によって、甲板に塗られた緑のペンキが変色した様子が、写真とともに明らかにされた。酪酸の濃さや危険性をうかがわせる写真だ。続いて、第2昭南丸の見取り図とベスーン被告が酪酸入りの瓶を投げようとした目標地点を示した図が映し出された》
検察官「まだ、においが残っていますが…。破片からは酪酸が検出されました」
《検察官は、ポリ袋から茶色の酪酸の入っていた瓶の破片を取り出した。事件から3カ月半がたった今も強いにおいは残っているようだ。続いて、酪酸の人体に与える影響などについて説明した。水泡や皮膚の裂傷を起こすため、体のあらゆる部位への接触を回避すべきものだとした》
検察官「被害者の被害当日の写真を映します。ほおが赤くなり、水泡ができているのが確認できます」
検察官「翌日の写真も映します。赤くなっていたほおは収まっていますが、水泡は翌日も確認できます」
《丸刈りの乗組員の男性の顔写真が映し出された。両側のほおが真っ赤になり、水泡ができているのが確認できる。痛々しい姿だ》
検察官「乗組員の男性がマストの上からビデオでベスーン被告がランチャーを撃つ姿を録画していました。録画していた様子をこれから再生します。ランチャーを発射した瞬間や混乱した船内が映っています」
《大型モニターに、第2昭南丸のマストから録画された、スティーブ・アーウィン号の姿やベスーン被告のゴムボートが第2昭南丸に接近してくる緊迫した様子の動画映像が映し出される》
《乗組員「スティーブ・アーウィン、スピード落としているようです。(抗議船の)ボブ・ワーカーも落としています」》
《乗組員「ゴムボートが近づいてきました。放水で応戦しています。本船に何か投げてきました。ものはわかりません。ボート旋回して何か投げました。右から接近してきます。ボート左舷側に来ました。また何かを投げようとしています」》
《ゴムボートは、先ほどの検察官の説明の通り、接近してきて何かを投げた後、旋回して再び何かを投げた》
《元船長のピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)が乗る抗議船「アディ・ギル号」が調査捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」に接近してくる様子を同船の男性乗組員が撮影した映像が法廷内の大型モニターに流れ、状況を説明する乗組員の声が響く》
《乗組員「AG(アディ・ギル)号が左舷に近寄ってきます」》
《白波をたてながら、急速に接近するアディ・ギル号。中央付近にベスーン被告の姿があった》
《乗組員「AG号の船長を確認しました」「平行しています。近寄ってきています」》
《ここでベスーン被告が動き出す。画面からは何をしているかは把握できないが、乗組員が緊迫した状況を伝える》
《乗組員「ランチャーのようなものを準備しています。ランチャーのようなものを構えています」》
《併走するアディ・ギル号がさらに近づく》
《乗組員「ランチャー発射。AG号は離れていきます」》
《落ち着いた声で状況を説明する乗組員。船内では「大丈夫?」「何か落ちてきた」という声が飛び交い始める》
《乗組員「何か被弾しました」「酪酸を乗組員がかぶったようです。酪酸入りのものが投げ込まれました。乗組員に当たったようです。下に行って確認してきます。終了します」》
検察官「これは乗組員がマストから撮影したビデオです。被告はランチャーで酪酸入りの瓶を発射して、『ヒャッホー』と歓声を上げて立ち去っていきました。続いて、(撮影の)乗組員が(マストから)下りて船内の状況を撮影した映像を映写します」
《洗面所が映し出される。男性乗組員3人が蛇口の前に立ち、顔や目を懸命に洗っている。先ほど撮影していた男性乗組員が説明を始める》
《乗組員「顔が赤くなり、目にも入ったようです。清水で洗っています。とても危険です。危険です」
 「上着を脱いだほうがいい。上着にもついているから」》
《3人は指示に従い、上着を脱ぎ始める》
《乗組員「顔がだいぶ腫れ、赤くなっています。ヒリヒリ痛いようです」》
《映像は5分ほどで終了し、検察官は顔を洗っていた3人のうち、真ん中に立っていたのが負傷したとされる乗組員(24)であることを説明した。ベスーン被告は疲れたのか、両目の内側付近をもみほぐした。検察官は続いて、乗組員たちの供述調書の要旨を読み上げていく》
検察官「近くで破裂音がして、酪酸のにおいが立ちこめた」
 「(アディ・ギル号は)左舷から15メートルぐらいのところで平行していて、(ベスーン被告が)ランチャーを斜め上に構えているのが見えた。『バーン』という音がして、ランチャーから赤い煙があがった。(ベスーン被告は)『ヤッホー』とガッツボーズをしていた」
「ランチャーを構えているのが見え、『来るぞ』と叫ぶ声が聞こえた」
《検察官は引き続き、第2昭南丸の船長の供述調書を読み上げる》
検察官「負傷者の救護のため船団から離脱しました。被告の自分勝手な危険な行為で許せません。厳しい処罰を望みます」
《続いて検察官は負傷者の診察を行った母船「日新丸」の船医の供述調書の読み上げに移るが、はじめに前置きした》
検察官「これは信用性が争われています」
《この船医は昭和50年に医師免許を取得。平成14年から4年間、民間の客船で船医を勤めていたという。検察官は船医が豊富な経験、知識を持っていることを強調したいようだ》
検察官「私は外科医で皮膚科医ではありませんが、やけどの診察や治療をしたことがあります。やけどは特殊な例でなければ診察可能です。船ではスチームやけどの診察をよくやりました」
《船医は乗組員のやけどを全治1週間と診断した。その経緯を説明する。第2昭南丸の船長から無線で異変を知らされた船医はデジタルカメラで撮影した患部の写真をメールで受信し、無線で問診した》
検察官「左ほほに水ぶくれがあり、ジュクジュクしているということでした。右目もゴロゴロしている状態だと説明していました。両目は赤く充血していました。水ぶくれなどから、全治1週間の熱傷と判断しました」
《証拠調べは続いて、ベスーン被告が第2昭南丸に侵入した様子を船内で説明する写真に移る。大型モニターに映された写真の中で、ベスーン被告は自らが切り裂いたネットを指さしていた》
検察官「ナイフで下から上に切り裂きました」
《ネットを切り裂いたベスーン被告が手すりを乗り越えて船内に侵入する様子を説明する。そして、船内の見取り図が映され、ベスーン被告が侵入した場所や、乗組員に発見された場所などが図示された。続いて、ナイフを押収した状況の説明が行われた》
検察官「被告は客室内で逮捕され、客室内の捜索が始まったとき、足首を指してナイフを隠し持っていることを告げました」
《押収されたナイフの写真がモニターに映し出される。検察官はナイフの全長が33センチ、刃の長さが19センチだったことを説明した。証拠調べは続くが、午前11時55分、多和田隆史裁判長が口を開いた》
裁判長「(午前中は)ここまででいいですね」
《裁判長は午後1時15分からの再開を告げた。ベスーン被告は通訳の女性の顔を見ながら、静かにうなずいていた》


その1 その3へ続く その4 その5  
posted by 大翔 at 17:23 | 青森 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 裁判 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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