2010年05月27日

SS(シー・シェパード)元船長 初公判 その3 衝突の瞬間「ガツッ」「AG号現在ストップ」叫ぶ乗組員 


《約1時間20分の休廷を終え、午後の審理が始まる。午前中満席だった傍聴席には空席も見られる》
《午後1時20分、多和田隆史裁判長が、環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」の抗議船「アディ・ギル号」元船長、ピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)の入廷を促し、ベスーン被告が向かって左手の扉から入廷してきた。静かに弁護人の前の長いすに座ったベスーン被告を見届けると、多和田裁判長は開廷を告げた。午前に引き続き、証拠調べが行われる》
検察官「第2昭南丸船長に対する検察官調書です。被告が第2昭南丸に侵入したときの状況、被告を監視下においたときのこと、被告がネットを切ったナイフが見つけられなかったことなどについて述べています。処罰感情については、侵入されたことや監視下において世話をしたことで労力が割かれ、予定していた調査ができなかったことから、厳重な処罰を求めています」
《続いて、平成22年1月6日に第2昭南丸とアディ・ギル号が衝突したときの様子を録画した映像が法廷内の大型モニターに映し出された》
検察官「第2昭南丸が警告音を出したり、放水したりしてアディ・ギル号を通り過ぎようとしたところ、アディ・ギル号が衝突してきたことについてのビデオ映像を映写します」
《ここまで背筋を伸ばして検察官の方を向いて落ち着いた様子だったベスーン被告だが、ビデオ映像を映すという検察官の発言を受けてか、ノートを取り出して何かをメモしながら笑みを浮かべた》
《乗組員「本船、徐々にAG号(アディ・ギル号)に近寄っています」》
《第2昭南丸が放水しながらアディ・ギル号の横を通り抜けようとする映像が流されるが、次の瞬間、「ガツッ」という音ともにアディ・ギル号が、第2昭南丸の右側面に衝突して大破する映像が生々しく映し出された》
《乗組員「AG号接触しました!本船の前に出てきて接触しました。AG号邪魔をしてぶつかってきました。AG号現在ストップ。AG号、AG号接触です」》
《ビデオを撮影している乗組員の男性も緊迫した大きな声で緊急事態を告げている。ベスーン被告は、傍聴席の方にしきりに目をやっている。接触時の映像は終了した。続いて、第2昭南丸所有会社社長の検察官調書などが示されていった》
検察官「水産庁資源管理部長からは調査捕鯨に対する日本の考え方が述べられています。調査捕鯨を非難する(国際捕鯨委員会での)決議は多数決によるもので、法的拘束力はなく、逆に海上の安全に関する決議は全会一致で可決されています」
《今後、ベスーン被告が主張するとみられる調査捕鯨妨害行為の正当性に対する日本の立場が表明された》
検察官「日本鯨類研究所の調査部次長に対する検察官調書では、前回までのSSによる妨害行為と今回の妨害行為について述べられています。これまで計5名が熱傷を負い、今回は執拗(しつよう)な妨害で31日間妨害され、予定海域の3分の2しか調査できなかったと供述しています」
検察官「平成21年12月11日、SS抗議船「スティーブ・アーウィン号」から第2昭南丸にレーザーが照射された様子の写真を示します。専門家によると出力が強く、双眼鏡で見ると失明の可能性もあるとのことです」
《緑色のレーザーが照射されている写真が映し出された。一見すると危険な光には見えない。続いて、同様にSS抗議船が、妨害行為を行う様子の写真が映し出されていく。ベスーン被告が調査母船「日新丸」に赤い塗料をランチャーで打ち込んだ様子の写真も映し出された。続いて、多和田裁判長が証拠物の提示を指示した》
裁判長「証拠物を今から示します。被告人は前に出てきてください」
《検察官が、DVDや被害にあった乗組員が着用していたヘルメットなどをベスーン被告に提示していく》
検察官「こちらが酪酸の入った瓶の破片です」
《ベスーン被告は瓶の入ったポリ袋に顔を近づけて確認する。においも確認したのだろうか》
《検察官は続いて、長さ30センチほどの黒いナイフを取り出した。恐る恐るナイフのさやを抜いて、ベスーン被告に示した》
検察官「これはあなたのですか」
被 告「そうですね。イエス」
《ベスーン被告は、即座に日本語で答えた後、英語で答え直した。検察官はさらに続けて質問した》
検察官「このナイフでネットを切って侵入しましたか」
被 告「That was correct(その通りです)」
《続いて、ベスーン被告の身上などについての証拠調べに移った》

ナイフ2本のうち1本は海中に 「ワトソン代表からの指示」随所に

《男性検察官が証拠の説明を続けている。いずれも「乙号証」と呼ばれる証拠で、環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」の抗議船「アディ・ギル号」元船長、ピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)の供述調書などだ》
《検察官の説明は、女性通訳の同時通訳でイヤホンからベスーン被告に伝えられている》
検察官「乙2号証から4号証は被告の供述調書で、犯行の準備などについて述べたものです」
《ベスーン被告は今年1月6日、船長を務めていたアディ・ギル号が調査捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」と衝突し、大破したことから、同船への侵入を計画したという。検察官が調書の一部を読み上げた》
検察官「私は第2昭南丸の船長にアディ・ギル号衝突の責任を問いたいと思っていました。そこで、ポール・ワトソンに『(船に)乗り込んだらどうか』と言われました」
《SSの代表であるポール・ワトソン(59)については、東京海上保安庁が傷害や威力業務妨害などの容疑で逮捕状を取っている。ベスーン被告は、ワトソン代表と電話やメールで計画について相談。他のSSメンバーが相談に加わったこともあるというが、このメンバーについて、ベスーン被告は「迷惑がかかるので言いたくない」と名前を明かさなかったという》
検察官「ポールから『(第2昭南丸に接近するための)ジェットスキーのクルーは誰がいいか』と聞かれたので、信用できる者の名前を言いました」
《検察官は調書を読み上げた後、「この部分については弁護側が信用性を争うとしています」と付け加えた》
検察官「ジェットスキーにはアニマルプラネットのジョーという者も乗ることになりました」
《「アニマルプラネット」とは、英国の国営テレビ局「BBC」などが制作しているドキュメンタリー番組だ。この番組のカメラマンも、水上バイクに同乗したという》
検察官「第2昭南丸への侵入が成功し、スティーブ・アーウィン号(SSの抗議船)の乗員に連絡したところ、『ポールがよくやったと言っていた』と伝えられました」
《続いて検察官は、同船への侵入方法について、ベスーン被告が詳細に供述した調書を読み上げた。ベスーン被告は同船に侵入しようとしたが、一度失敗して海に転落。水上バイクに拾われ、再度侵入を試みたという》
検察官「ジェットスキーのへりに足をかけ、船のネットをつかみました。今度は、片方の足を昭南丸のへりにかけることに成功しました。私は足に装着したナイフを手に取り、足元の高さまで下から上に向かってネットを切りました。さらに、上から下に向かってもネットを切り、そこから船に侵入しました」
《ベスーン被告は同船に侵入後、持っていた2本のナイフのうち1本を海に捨てたという。ネットを切断するのに使った大型のナイフは捨てずに船内へ持ち込み、操舵室(そうだしつ)に隠していた。このナイフについては「大切なナイフなので捨てなかった」と話したという》
検察官「ランチャーで酪酸入りの瓶を投擲(とうてき)した際は、乗っていたゴムボートの操縦者に指示を受けていました。ただ、この操縦者はスティーブ・アーウィン号に指示を受けていました。つまり、私はスティーブ・アーウィン号の船長であるポール・ワトソンの指示を受けていたということです。操縦者については、名前を言いたくありません」
《仲間をかばっているのか、ベスーン被告はSSメンバーの名前について、ほとんど供述していないようだ。一方、調書の端々からはワトソン代表が妨害活動全体を指示していた様子がうかがえる》
検察官「ポール・ワトソンからランチャーについて指示を受けたのは、昨年6月に開かれた会議です。ワトソンは『ランチャーを用意しておけ』と言いました。私は、ポテトランチャーのことかと思いました」
《「ポテトランチャー」とは聞き慣れない単語だが、ベスーン被告いわく、母国のニュージーランドでは有名なおもちゃだという》
検察官「日本ではあまり知られていないかもしれませんが、ポテトランチャーは空気の力でポテトなどを飛ばすもので、10代の子供がよく使います。私もこれで遊んでいました」
《法廷内の大型モニターにランチャーの図面が表示された。空気の力で、物を押し出すといい、「ジャガイモならば最大70メートルぐらい飛ばせます」と検察官が説明した》
《この後、大型モニターに第2昭南丸が撮影した写真が表示された。ランチャーを持って、こちらをにらみつけるベスーン被告が映し出されている。何か叫んでいたのか口を大きく開けており、迫力がある。続いて表示された写真では、船から緑の光が出ている》
検察官「これはアディ・ギル号の船員がレーザーを使っている場面だと、被告は供述しています」
《さらに、検察官は傷害罪についてベスーン被告が弁解したという調書を読み上げた》
検察官「第2昭南丸の乗員らが使っていたペッパースプレーが(けがの)原因だと思います。乗員らのヘルメットにはフェースガードがついていたので、酪酸はかからないと思います。けがをさせようという気持ちはありませんでした。(酪酸入りの瓶は)人のいないところに撃ったので、瓶の破片などが人に当たるとは思いませんでした。酪酸は人体に無害だと思っていました」
《ペッパースプレーとは、妨害行為対策などで使うスプレーのようだ》
《この日の公判の冒頭で行われた罪状認否で、ベスーン被告は傷害罪についてのみ「いかなる人にも傷害を負わせる意図はなかった」と否認している》
《このほかの調書など、数点の証拠についての説明が行われた後、裁判長が10分間の休憩をとると告げた。ベスーン被告は疲れた様子も見せず、傍聴席を見渡していた》


その1 その2 その4へ続く その5 


posted by 大翔 at 21:36 | 青森 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 裁判 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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