2010年05月27日

SS(シー・シェパード)元船長 初公判 その4 「エクスキューズ・ミー」 突然被告の口から出た言葉は…


《午後2時16分、多和田隆史裁判長が再開を告げ、検察側の男性証人が法廷内に姿を現した。黒っぽいスーツに青いネクタイ姿の証人は、やや足早に証言台に向かった。証人は事件当時、第2昭南丸に乗船していた32歳の船員だ。偽証しないことを宣誓する証人を、ベスーン被告がじっくりと見つめている》
裁判長「通訳が入っているので、質問の通訳が終わってから答えてください」
証 人「はい」
《それまでのイヤホンを通じた同時通訳から、一つの発言ごとに区切って通訳する方式に切り替えられることになった。検察官が立ち上がり、証人に質問を始める》
検察官「あなたは第2昭南丸に乗っていましたね?」
《女性の通訳が始めようとしたとき、おもむろに被告が声をあげる》
被 告「Excuse me」
《法廷内が静まりかえり、視線が一斉にベスーン被告に注がれる。ベスーン被告は同時通訳の音声が流れる左耳のイヤホンを指しながら、通訳にボソボソと訴えかける》
《通訳が「これはもう使わないんですね?」と確認すると、ベスーン被告はおもむろにイヤホンを外した。検察官はもう1度、同じ質問を証人に投げかけた》
検察官「あなたは第2昭南丸に乗っていましたね?」
証 人「はい」
検察官「日本時間午後11時ごろ、被告はゴムボートに乗って接近してきましたね」
証 人「はい」
検察官「被告は第2昭南丸の左舷に接近して、ゴムボートからランチャーで何かを撃ちましたね」
証 人「はい」
《証人の声がわずかにかすれた。ベスーン被告は手を前に組みながら、通訳の言葉に耳を傾ける》
検察官「あなたはどこにいましたか」
証 人「左舷のボートデッキに上がる階段の前にいました」
検察官「どうしてそこにいましたか」
証 人「SSの人たちが船に飛び込んでこないように警戒してました」
検察官「どういう装備で警戒していましたか」
証 人「防護ヘルメット、手袋、カッパなどを着て、インパルス銃を担いでいました」
検察官「インパルス銃とは?」
証 人「消火器だと聞いています」
検察官「圧縮空気で水を打ち出すのですか」
証 人「はい」
《証人は近くに乗組員2人がいて、約10メートル離れた場所に起訴状で顔面を負傷したとされている乗組員がいることを説明した》
検察官「被告がランチャーを撃ったのは目撃しましたか」
証 人「はい」
検察官「なぜランチャーを撃ったのだと分かりましたか」
証 人「撃ったときの音と、(ランチャーから)赤い煙が見えました」
検察官「被告はどういう行動を取っていましたか」
証 人「第2昭南丸に撃ったものが当たり、歓声を上げて喜んでいました」
《ベスーン被告は長いすの背もたれに右ひじを乗せ、上半身をやや右にひねるようにしながら座る。顔は通訳、証人へとせわしなく向けられる》
検察官「何が撃たれたと思いましたか」
証 人「酪酸だと思いました」
検察官「そう判断したのはいつですか」
証 人「(発射から)1、2秒後です」
検察官「変わったことがあったのですか」
証 人「目や顔が痛み、いつものように目が開けられなくなりました。酪酸の異臭が漂ってきました」
検察官「痛み、においを感じてどう思いましたか」
証 人「自分の体と目の中に酪酸がかかったと思いました」
検察官「確認ですが、発射から痛みを感じるまでの時間はどれくらいありましたか」
証 人「1、2秒ぐらいです」
《検察官は、争点となっている酪酸と乗組員のやけどの因果関係を証言により裏付けようとしているようだ》
検察官「以前も酪酸の異臭をかいだことがありますか」
証 人「はい」
検察官「いつ、どういう機会で酪酸をかいだのかを説明してください」
証 人「2月11日の前にもSS側から酪酸を投げられました。2、3年前にも投げられています」
検察官「事件よりも前に酪酸を浴びたことはありますか」
証 人「ありません」
検察官「誰か別の人が浴びたところを見たことはありますか」
証 人「はい。2、3年前に乗っていた船に酪酸が着弾し、酪酸を浴びた人が『ヒリヒリ』するから気をつけろ」と言っていました」
検察官「そうした経験から、事件当時はどう考えたのですか」
証 人「自分の顔に酪酸がかかり、ヒリヒリしていると思いました」
検察官「ランチャーが撃たれる前にそのような症状はありましたか」
証 人「ありませんでした」
《検察官は酪酸を浴びた後の行動について証人に質問していく》
検察官「その後はどうしましたか」
証 人「痛みを我慢できず、船内に入って洗いました」
検察官「船内に入る前のことを聞きたいのですが、周囲にいた人に異変はありましたか」
証 人「同じような痛みを訴えていました」
検察官「船内に入ったということですが、当時は甲板で(SSを)警戒する任務をしていましたよね?」
証 人「いつものように任務をすることはできませんでした。目も開けられず、顔も痛く、とても任務をすることができませんでした」
検察官「任務を止めて、どうしましたか」
証 人「船首の方向に走っていきました」
検察官「(起訴状で負傷したとされている)乗組員は見ましたか」
証 人「はい」
検察官「様子は?」
証 人「ひざをついてうずくまっていました。酪酸をかぶったと思いました。うなるような声が聞こえました」
検察官「(乗組員の)容体を調べたり、手当をしたりはしましたか」
証 人「そこではしていません。自分も酪酸がかかり、自分の顔を流すことが先でした」
《ベスーン被告は手を前で組み、表情を変えずに証人を見つめている》

「ほおは真っ赤で水ぶくれが」 酪酸“攻撃”の痛々しい顔に驚愕証言

《シー・シェパード(SS)の抗議船「アディ・ギル号」元船長、ピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)が侵入した「第2昭南丸」乗組員で、酪酸による軽傷のやけどを負った男性に対する証人尋問が続いている。証人は、顔などに酪酸を浴びてシャワー室に行った後の様子を、はっきりとした口調で説明していく。ベスーン被告(45)は、視線を傍聴席や女性通訳の方に向けたりして落ち着かない様子だ》
検察官「あなた以外にシャワールームで顔を洗った人はいましたか」
証 人「2人いました」
検察官「そのときのシャワールームの状況は?」
証 人「全身に酪酸がかかっていたので酪酸のにおいですごかったです」
検察官「ところでシャワールームに鏡はありましたか。自分の顔の様子は見ましたか」
証 人「はい。目が充血していて、両側のほおが赤くなっていました」
《酪酸による“攻撃”を受けた被害者の男性が、生々しく自らの体験を語る。続いて、乗組員の中でもっとも被害が大きく、起訴状で負傷者とされた男性についての質問に移った》
検察官「シャワールームに入った彼の顔を見てどう思いましたか」
証 人「ワッ! という感じでした。いつもとは顔つきが違っていて驚きました」
検察官「どう違ったのか説明してください」
証 人「まぶたは充血、ほっぺも真っ赤で、ほっぺの真ん中は水ぶくれができていました。自分の状態と比べても全然違いました。いつもの顔と違って本当に痛そうな顔でした」
《午前中の法廷でも顔写真が映し出された、酪酸で顔が真っ赤に腫れた男性乗組員。同じ被害者から見てもひどい様子だったことが分かる。ベスーン被告は、赤みがかった顔をして落ち着かない様子で、前屈みになったり、きょろきょろしたりして、多動な様子を見せている》
検察官「あなたはシャワールームにどれくらいいましたか」
証 人「40分ぐらいです」
検察官「その間、何をしましたか」
証 人「とにかく顔を洗え、との指示だったのでそうしました」
検察官「40分間も洗い続けたのですか」
証 人「いったん洗っても痛みがぶり返すので、顔を鏡で確認したり洗ったりを繰り返しました」
検察官「翌日は痛みは治まりましたか」
証 人「まだほっぺがざらざらしたり、ヒリヒリした感じが残りましたが、その次の日には治まりました」
《痛みは2日後にようやく引いたようだ。次に証人が酪酸を浴びた際の服装や装備についての質問に移った》
検察官「ヘルメットにはフェースガードがついていましたか」
証 人「はい。ついていました」
検察官「フェースガードで顔全体が覆われていましたか」
証 人「そのときは上くちびるまでしか降ろしていなかったです」
検察官「なぜ下まで降ろしていなかったのですか」
証 人「ふだんから下まで降ろしていなかったというのと、下まで降ろすと圧迫されて息苦しいような気がするので」
《検察官は、男性が酪酸を浴びた際、フェースガードを一番下まで降ろしていなかったことを明確にしようとした。続いて、酪酸を浴びたときの様子を再現した際の服装の写真が、検察官から裁判長や弁護側に配られた》
検察官「今年2月11日に酪酸を浴びたときの服装はこの通りですか」
証 人「はい」
検察官「着ているヘルメットやカッパは事件当日のものと全く同じものですか」
証 人「違います。(現物の)ヘルメットは海上保安庁が証拠として持っていったと聞きました。着ていたカッパは、においがとれなくて着られなかったので船上で焼却処分しました。ヘルメットもくさかったですが、予備がないのでよく洗いました」
《酪酸のにおいの強さとしつこさを物語るエピソードだ。続いて、SS鎮圧用に乗組員が装備している、圧縮空気で水を発射するインパルス銃のタンクの中身などについて質問していく。SSは、インパルス銃から発射された催涙成分を含む水が、乗組員のやけどの原因だと主張している》
検察官「あなた方のやけどの原因について、インパルス銃の催涙成分が原因と言っているのは知っていますか」
証 人「はい。知っています」
検察官「あなたのインパルス銃には催涙成分は入っていますか」
証 人「入っていません。真水です。タンクの中に水を入れるのは目の前で確認しています」
検察官「あなたが撃ったインパルス銃が、最も被害の大きかった男性にかかった可能性はありますか」
証 人「ないと思います」
《検察官は、インパルス銃がやけどの原因とするSSの主張を真っ向から否定する構えを見せた》


その1 その2 その3 その5へ続く 
posted by 大翔 at 22:44 | 青森 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 裁判 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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