新聞を見たら IRIS アイリスというドラマだそうで、未だに誰がイ・ビョンホンなのかピンと来ていない韓流音痴ですが、このドラマ面白いね。
さてそこで、秋田県にある田沢湖が出ていたのでちょっこっと書きたいと思います。

田沢湖と辰子像(舟越保武作)
知る人ぞ知る日本で一番深い湖として有名ですよね。深さは423.4mで世界では17番目です。これによって真冬でも凍らないと言われています。
辰子の伝説
むかしむかし、田沢湖が田沢潟と呼ばれていた頃、田沢潟のほとりにあった神成村に辰子(たつこ)と云う名の娘がおりました。肌白くそれはそれは美しい娘さんだったようです。
ある日辰子は水面に映った自分の顔を見て、その美しさを永遠に保ちたいと思うようになりました。どうしたものかと考えて、辰子は密かに村の背にある大蔵観音にお願いすることにしました。毎晩通って百日目の夜、その願いが観音様に通じたのか観音様が辰子の前に現れてこう云ったのです。
「辰子よ、あー可哀想な辰子よ。それほどまでに美しく有りたいのか。永遠の美しさを願うなら、この山の北に沸く泉の水を飲むがよい。」
それを聞いた辰子は迷わず泉に向かいました。山を越え、沢を渡り、辺りが深いブナの森になったとき、光輝く泉を見つけ、白い手を差し伸べて氷のように冷たい水を一口、また一口と飲み始めました。
ところがです。飲めば飲むほど喉が渇き、ついには水面に口をつけてがぶがぶ飲み始めました。
するとどうでしょう。天を仰げば空がさけるような雷がとどろき、激しい雨が降り出し、あっとい間に山は崩れ落ち、川が塞き止められて大きな水たまりが出来ました。辰子が水面を見ると、もうそこには美しい辰子は映っていませんでした。辰子は龍に姿を変えていたのです。
龍へと変化していた辰子は、自分の身に起こった報いを悟りました。そして、辰子は田沢湖に身を沈め、そこの主として暮らすようになったのです。
母は、いつまでも帰らない娘を探し、辰子の名を叫びながら山や谷をさまよい歩きました。その声が湖の底まで届いたのか、龍となってしまった辰子が水しぶきをあげて姿を現しました。辰子としては変わらぬ姿で母を迎えたのですが、その実体は既に人ではなかったのです。
「お母さん、お許し下さい・・・。私は永遠の美しさを観音様にお願いしたのです。でも、龍の姿になってしまい、この田沢湖の主となりました。もう家に帰ることができません。そのかわりに、この湖を魚でいっぱいにします。どうぞ、それを毎日食べてください。」といい終えると、辰子はまた湖の奥底に姿を隠してしまいました。
母が泣きながら手にしていたタイマツの燃え残りを力なく投げ入れると、不思議なことにそのタイマツはマスとなり、すいすいと湖の中に泳ぎ去りました。
こうして、辰子は静かな山の湖の主となったのです。
北方の海沿いに八郎潟という湖があります。ここは、やはり人間から龍へと姿を変えられた八郎という龍が、終の棲家と定めた湖でした。
しかし、八郎はいつしか山の田沢湖の主・辰子に惹かれ、辰子もその想いを受け容れたのです。それ以来八郎は辰子と共に田沢湖に暮らすようになり、主のいなくなった八郎潟は年を追うごとに浅くなり、主の増えた田沢湖は逆に冬も凍ることなくますます深くなったのだという。
なお、湖の北岸にある御座石神社には、辰子が竜になるきっかけとなった水を飲んだと言われる泉があります。
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そういえば、アイリスでは十和田湖の話が出てきますが、八郎が十和田湖の主でもあるのでそうなったのでしょう。
乳頭温泉のシーン
9/1日、心地よりドタバタ感がたまらなかった IRIS も、とうとう最終回となりました^^