2010年05月29日

28日【SS元船長 第2回公判】その1。SSのリンゴ砲攻撃に竹の棒で応戦?! 負傷した捕鯨船団の乗組員が証言



《環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」のメンバーによる日本の調査捕鯨妨害事件で、艦船侵入や傷害など5つの罪に問われたSS抗議船「アディ・ギル号」元船長、ピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)の第2回公判が28日午前10時1分、東京地裁(多和田隆史裁判長)で始まった。この日の証人2人が被害の状況をどう語るのか注目される》

検察官「SSのゴムボートからランチャーで酪酸入りの瓶を撃ち込まれたときの状況を聴いていきます」
 《起訴状によると、ベスーン被告は今年2月11日、南極海で航行中の調査捕鯨団の監視船「第2昭南丸」に酪酸入りの瓶を放ち、異臭を拡散させて業務を妨害、乗組員1人にけがをさせた。同月15日には、第2昭南丸に水上バイクで接近、防護用ネットをナイフで切り、船内に不法侵入するなどしたとされる》
検察官「当時、君は妨害排除業務についていましたね」
証 人「はい」
 《妨害排除業務とは、SSのメンバーが船に乗り組むのを阻止する業務のようだ。ベスーン被告は手のひらを開いたり、両手を握ったりと少し落ち着きがない》
検察官「左舷側に立って海の方向を見てSSのゴムボートを見張っていましたよね」
証 人「はい」
 《ここで検察官が法廷内の大型モニターに第2昭南丸の見取り図を映し出す。左舷側の図面と真上から見た図だ》
検察官「君がいた位置を指で示してください」
 《証人は真上から見た図の左舷中央のやや船首よりを指さした。ベスーン被告はモニターと証人を交互に見つめている》
検察官「船尾寄りにはAさん、Bさん、Cさん(公判ではいずれも実名)がいましたね」
証 人「はい」
検察官「どのぐらい離れていましたか」
証 人「10メートルぐらいだったと思います」
検察官「AさんとBさんはインパルス銃、Cさんは竹の棒を持って立っていたんですよね」
証 人「はい」
 《インパルス銃とは、本来は消火器として使われるが、勢いよく水を放って侵入してこようとする者を防ぐことにも使用される》
検察官「服装は迷彩柄の合羽(かっぱ)にオレンジ色の救命胴衣、手袋をして長靴をはいていましたね」
証 人「はい」
検察官「手には竹の棒を持っていた?」
証 人「はい」
検察官「竹の棒は何のために使うのですか」
証 人「(誰かが)乗り込もうとしたときに使います」
検察官「乗り込むのを防止するため?」
証 人「はい」
検察官「頭にはヘルメットをかぶっていましたね。前に上げ下げできるプラスチック製の透明のガードが付いていましたね」
証 人「はい」
検察官「どの辺りまで下げていましたか」
証 人「鼻の辺りです」
検察官「どうして下げる必要があるのですか」
証 人「目を守るためです」
検察官「どうして一番下まで下げなかったのですか」
証 人「目が隠れればそれでいいと思っていました」
検察官「SSのゴムボートは左舷側から右舷側に回り、さらに左舷側に回り込んできましたね」証 人「はい」
検察官「君以外に対応した人がいましたね」
証 人「AさんとBさんがインパルス銃で水を撃ちました」
検察官「水はかかりましたか」
証 人「かかっていません」
検察官「風は?」
 証人「船首から船尾側に吹いていました」
検察官「君は風上にいたことになりますね」
証 人「はい」
 《弁護側が証人の負傷の原因がインパルス銃の水がかかったことにあるのではないかと疑義をはさんでいることに対抗しての質問とみられる》
検察官「ボートまでの距離は?」
証 人「15から20メートルぐらいです」
検察官「被告は乗っていましたか」
証 人「はい」
検察官「被告は何をしましたか」
証 人「ランチャーを構えました」
検察官「どう思いましたか」
証 人「危ないと思いました」
検察官「何が危ないと?」
証 人「酪酸とか塗料の入った瓶、リンゴを撃ち込まれると思いました」
検察官「どうしてそう思いましたか」
証 人「今までも投げ込まれていたので」
検察官「リンゴが撃ち込まれるとは?」
証 人「リンゴが実際撃ち込まれた話を聞いたからです」
 《SSのボートから捕鯨船団の船にリンゴが撃ち込まれたのは、事件から2カ月前の平成21年12月のことだったという》
検察官「危ないと思ってどうしましたか」
証 人「コンパニオンの下に隠れようと思いました」
 《コンパニオンはブリッジの下にあり、外からは隠れる部分を指すようだ。検察官にうながされ、見取り図のうち、証人が立っていた位置の近くのブリッジ側を指さした》
裁判長「範囲に幅があるようなのでもうちょっと特定してください」
検察官「マストの真下辺りですね」
証 人「はい」
検察官「コンパニオンには何を置いていましたか」
証 人「ゴミ箱とかです」
 《ここで聞き取れなかった通訳が聞き返す》
裁判長「証人はもうちょっと大きな声でしゃべってください」
 《裁判長が事務官にマイクの位置を再調整させた。検察官が「緊張しているのかな」と証人に問いかけた。ベスーン被告はじっと証人を見つめている》

「燃えるような激しい痛み」 失明の恐怖に襲われた証人

検察官「被告がランチャーを構えたとき、どうしようとしましたか」
証 人「コンパニオン(ブリッジの下にある構造物)の物陰に隠れようとしました」
検察官「実際に隠れましたか」
証 人「隠れませんでした。隠れようとしましたが、止まりました」
検察官「どうして止まったのですか」
証 人「ランチャーの筒先がブリッジに向いていたからです。狙いが外れ、自分に当たるかもしれないと思いました」
検察官「それでどうしましたか」
証 人「ブリッジを見上げました」
検察官「ブリッジを見上げたとき、視界を何か通り過ぎましたか」
証 人「はい」
検察官「何が通り過ぎましたか」
証 人「暗くて赤色っぽい物が飛んでいました」
検察官「当時、何が飛んだと思いましたか」
証 人「分かりませんでした」
検察官「通り過ぎた物の速度は?」
証 人「速かったですが、目では追えました」
検察官「なぜその物が通り過ぎたと思いましたか」
証 人「ベスーンがランチャーで撃ったと思いました」
 《○○さんは裁判長の方を見ながら、はっきりとした口調で証言した》
検察官「ベスーンが…、失礼」
 《検察官も○○さんの証言につられ、「被告」を付けるのを忘れ、呼び捨てにしてしまう。ベスーン被告は○○さん、検察官を上目遣いに見つめながら、持っていたノートに何かを書き記している》
検察官「被告が何かを撃ったところを見ましたか」
証 人「見ていません」
検察官「ランチャーの発射音は聞きましたか」
証 人「聞いていません」
検察官「視界を物が通り過ぎた後、何かありましたか」
証 人「ボートから喜ぶような声が聞こえました」
検察官「喜ぶような声とはどのような声でしたか」
証 人「『ヒャッホー』という感じの声が聞こえました」
 《歓声を聞いた証人はベスーン被告が乗るボートの方を向こうとした。だが直後に異変が起こったという》
検察官「何が起きましたか」
証 人「目が開けられず、痛くなりました」
検察官「痛かったのは目だけですか」
証 人「両ほほも痛くなりました」
検察官「それから何かありましたか」
証 人「酪酸のにおいがしました」
検察官「どう思いましたか」
証 人「(自分に)酪酸がかかったと思いました」
検察官「痛くなったのは両目ですか」
証 人「両目です」
検察官「どんな風に痛みましたか」
証 人「右目の方は燃えるような、激しい痛みがありました」
 《当時の恐怖を語る○○さん。ベスーン被告は通訳の言葉に耳を傾けながら、傍聴席の後方にある時計の辺りを見つめる》
検察官「両目は開けられましたか」
証 人「できませんでした」
検察官「両ほほはどのように痛みましたか」
証 人「ヒリヒリする感じでした」
検察官「視界を物が通り過ぎてから、目やほほが痛むまでの時間はどれくらいありましたか」
証 人「1秒か、2秒ぐらいでした」
検察官「『酪酸のにおいがした』と証言していましたね?」
証 人「はい」
検察官「以前にも、かいだことがありますか」
証 人「はい」
検察官「どんなにおいでしたか」
証 人「くさいです。ブルーチーズのにおいを強烈にした感じです」
検察官「ほか(のにおいい)にたとえられますか」
証 人「肥だめのにおいに似ています」
検察官「酪酸が顔にかかったと思いましたか」
証 人「はい」
検察官「どうして顔にかかったと思いましたか」
証 人「目とほほの痛みを感じて、ほぼ同時ににおいをかいだからです」
検察官「何か顔にかかった感触は?」
証 人「感じていません」
検察官「当時はヘルメットをかぶっていましたね。ヘルメットの前面にガードがあり、ガードを鼻のところまで下げていましたね?」
証 人「はい」
検察官「なぜ酪酸が顔にかかったといえますか」
証 人「もう1回、質問をお願いします」
 《検察官が同様の質問を繰り返す。証人は1、2秒の間を開けてから、答え始める》
証 人「ヘルメットのガードと顔の間から(酪酸が)入ってきたと思いました」
検察官「『酪酸がかかった』と思い、どうしましたか」
証 人「その場でしゃがみ込みました」
検察官「目は開けられましたか」
証 人「開けられませんでした」
検察官「どのようなことを考えましたか」
証 人「『失明するかもしれない』と思いました」
検察官「Cさんに話しかけられましたね」
証 人「はい。『大丈夫ですか』と言われました」
検察官「何か答えましたか」
証 人「できませんでした。痛すぎて、それどころじゃなかったです」
 《激しい痛みに襲われた○○さんは必死にコンパニオンの物陰に身を隠し、しゃがみ込んだという。検察官がその理由を尋ねる》
検察官「なぜ身を隠したのですか」
証 人「SSのボートにカメラマンがいました。(自分の姿を)撮影されたくないと思い、移動しました」
 《海の男の意地を見せた○○さん。その後、Cさん(法廷では実名)に連れられ、シャワールームに移動し、目や顔を洗ったという。このシャワールームには27日の証人尋問で証言台に立ったAさん(同)や、Bさん(同)も来た。○○さん、Aさん、Bさんがシャワールームに到着した順番について、○○さんは覚えていないという》
検察官「Aさん、Bさんがなぜシャワールームに来たと思いましたか」
証 人「酪酸にやられたと思いました」
検察官「どうしてそう思ったのですか」
証 人「Aさんは顔が赤くなり、『痛い』と言って顔を洗っていました。Bさんも顔を洗っていました」
 《証言台の○○さんを見つめるベスーン被告。その顔は無表情だった》


クリアその1 次項有その2 クリアその3 クリアその4

クリアSS(シー・シェパード)元船長 初公判 その1
クリア「シー・シェパード代表は間違っている」「家族恋しい」拘留の被告が激白 その他色々
posted by 大翔 at 09:53 | 青森 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | 裁判 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月27日

SS(シー・シェパード)元船長 初公判 その5 船内で拘束中に“日本語授業”?とDVD 法廷内暑くて?被告の頬紅潮


《検察官が、事件当時、調査捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」に乗船していた男性船員が酪酸入りの瓶を投擲(とうてき)された際の状況について説明している。環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」の抗議船「アディ・ギル号」元船長、ピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)は、ゴムボートで第2昭南丸に接近した上で、ランチャーを使って酪酸入りの瓶を発射。これに対して第2昭南丸の船員らは、圧縮空気で水を発射する「インパルス銃」を使って“応戦”していたという》
《検察官が尋問を続ける》
検察官「インパルス銃は、第2昭南丸から見て真横の方向に構えていたんですね?」
証 人「はい。船は走っているので、船首から船尾に向かって風が吹きます。だから、インパルス銃を撃ったとしても前(船首側)に流れることはありません」
《ベスーン被告は、「船員のけがの原因はインパルス銃から発射された水に含まれる成分によるものだ」として傷害罪を否認している。この証言は、傷害罪の成否を判断する上で重要な材料となりそうだ》
検察官「被告の処罰について何か言いたいことはありますか」
証 人「僕たちは酪酸をかけられて、すごく痛い思いをして、すごく不愉快な思いをしました。(仕事を中断したため)船員にも迷惑をかけました。やったことはやったこととして、ちゃんと処罰してもらいたいです」
《被告人席に座るベスーン被告は、証人をじっと見つめたままで表情を変えない》
《ここで、約10分間の休憩に入った。休憩終了前に多和田隆史裁判長が「法廷内はかなり暑いので、上着を脱いでいただいていいですよ。被告もいいですよ」と告げると、ベスーン被告が上着を脱いだ。だいぶ暑かったのか、ほおが紅潮している》
 《審理が再開され、男性弁護人が質問に立った》
弁護人「防護ヘルメットは会社から支給されたものですね?」
証 人「はい」
弁護人「確認ですが、この日あなたは上唇までしかフェースガードを下ろしていなかったんですね?」
証 人「はい」
弁護人「あごのあたりまでは下がるんですよね?」
証 人「はい」
弁護人「この日はあごまで下げる必要を感じなかったのですか」
証 人「いつもそのくらいまでしか下げていません」
弁護人「インパルス銃は真横に向けて発射したんですね?」
証 人「はい」
弁護人「それはベスーンさんがランチャーから何か発射した直後ですね?」
証 人「はい」
弁護人「ランチャーがあたったところは見ていないですか」
証 人「はい。当たった場所までは見ていません」
弁護人「でも、1〜2秒後にヒリヒリ感を感じたんですよね? 初めて痛みを感じたときは何をしていましたか」
証 人「よく覚えていないですが、立ち止まったりしていたのではないかと…」
弁護人「インパルス銃を撃ったのでは?」
証 人「あ、失礼しました。直後に撃ちました」
弁護人「痛みを感じたのは、まさしくインパルス銃を撃ったときではないですか」
証 人「僕らはちょっと後です」
 《ここで通訳の女性が「(聞いているのは)痛みのことですよね? ちょっと食い違っているんですが…」と怪訝(けげん)そうな表情で質問した。弁護人が改めて同じ質問をすると、証人は「はい」と答えた。ベスーン被告は被告人席の背もたれに右腕をかけ、リラックスした様子だ》
弁護人「インパルス銃を撃ったのは、SSの人が乗り込んで来ないようにですよね?」
証 人「元々はそういうことです」
弁護人「ずばり聞きますが、あなたはこの日、インパルス銃の中身を体に浴びたことはないですか」
証 人「撃ったやつは、少しは自分にかかります」
 弁護人「痛みを感じて40分間シャワールームにいたということですが、その後はどうしましたか」
証 人「40分ぐらい洗ったりしていたら、最初よりヒリヒリ感が抜けてきたので、片づけに入りました」
弁護人「片づけとは?」
証 人「酪酸がかかったところの液体を流したりしていました」
弁護人「その後は?」
証 人「当直に入りました」
弁護人「当直は何時までですか」
証 人「その日、僕は夜中のミッドナイトまででした」
 《ミッドナイトとは、午前0時を指すようだ》
弁護人「よく眠れましたね?」
証 人「その日は朝からずっと(勤務)だったので、よく眠れました」
 《何点か質問した後、弁護人はベスーン被告の“人となり”も尋ねた》
弁護人「ベスーンさんが(第2昭南丸に)乗り込んだ後、東京港に戻るまで船で一緒でしたね?」
証 人「はい」
弁護人「ベスーンさんの船での様子はどのような感じでしたか」
証 人「乗組員と同じものを食べ、DVDが見たいと言ったらDVDをあげ、普通に生活していました」
弁護人「みなさんと同じ食事をとっていたのですか」
証 人「同じ場所で(食事)していました」
弁護人「職員との会話はありましたか」
証 人「△△監督官(法廷では実名)は、食事が終わってから日本語の練習をしているのを見ています」
 《監督官がベスーン被告に日本語を教えていたようだ》
弁護人「ベスーンさんも喜んで日本語を習っていたんじゃないですか」
証 人「はい」
弁護人「他にベスーンさんに日本語を教えた人はいませんか」
証 人「あと食事に立ち会ったとしたら、□□甲板長(法廷では実名)くらいです」
弁護人「ベスーンさんと捕鯨について語り合った人はいますか」
証 人「そういう人はいなかったと思います」
 《第2昭南丸の船内では比較的、和気藹々(わきあいあい)と過ごしていたようだ。ベスーン被告は、後ろに立つ弁護人と前に座る証人を交互に見ている》

説明にまごつく証人 指さして苛立つ裁判長「もう一度答えて」

弁護人「顔が痛いと感じたとき、上の方から水は降ってきましたか」
証 人「分かりません。波しぶきがあって、あたりは水浸しでした」
弁護人「ランチャーを撃った後、何かが割れる音は聞こえましたか」
証 人「ガラスが割れるような音は聞いていません」
弁護人「顔に痛みを感じた後、船内に入るために上甲板を歩きましたよね?」
証 人「はい」
弁護人「その間に足の裏でガラス片を踏むような感じはありましたか」
証 人「感じませんでした」
 《ここで別の男性弁護士が立ち上がり、質問を続ける》
弁護人「シャワールームに入ったとき、『異臭がすごかった』と言いましたよね?」
証 人「はい」
弁護人「シャワールームには最初に入ったのですか」
証 人「思いだせません」
弁護人「人はいましたか」
証 人「いたような、いなかったような。どちらがどっちとは言えません」
弁護人「(起訴状で顔面を負傷したとされている)乗組員とは一緒に入りましたか。ほかに痛みを訴えた人と3人で同時に入りましたか」
証 人「それはないです。同時には入っていないと思います」
弁護人「シャワールームで顔を洗うように指示がありましたか」
証 人「はい」
弁護人「誰の指示ですか」
証 人「□□甲板長(法廷では実名)でした」
弁護人「シャワールームで声を掛けてきたのですか」
証 人「デッキ上です」
 《弁護人は、酪酸で被害が出たとする証人に当時の経緯を詳しく聞きたいようだ》
弁護人「シャワールームで軟膏(なんこう)を塗りましたか」
証 人「『シャワールームで軟膏を塗った』とは一言も言ったことはないです。船橋(ブリッジ)で塗りました」
弁護人「何という薬ですか」
証 人「最初に塗った軟膏の名前は覚えていません。2回目に塗った軟膏は(調査捕鯨船団の)ほかの船からもらいましたが、その名前は××軟膏(法廷では商品名)です」
 《弁護側は××軟膏をほかの船からもらった経緯について質問を重ねる。証人が説明にまごつき、多和田隆史裁判長がいらだったような表情をしながら証人を指さし、「もう1度答えて」などと促す》
 《証人は第2昭南丸がほかの船に接近してロープを渡し、ロープで袋に入った軟膏を引き寄せたことを説明した。弁護人は質問の内容を変える》
弁護人「日本に帰ってから診察を受けたと言っていましたね?」
証 人「はい」
弁護人「何のためですか?」
証 人「それは…アレです」
 《女性通訳が口を挟む。今回の証人尋問ではよく目にする場面だ》
 通訳「アレって、どういう意味ですか」
証 人「診断してもらうために行きました」
弁護人「そのとき、けがは治っていましたか」
証 人「はい」
弁護人「診断してもらう必要があるんですか」
証 人「体のことですから…」
弁護人「どうやって診断したんですか」
証 人「(医師は)顔の状態と写真を見ました。そのときの状況を伝えました」
 《写真とは何か。やや言葉足らずの感もある証人に多和田裁判長は再び不機嫌になっていく》
裁判長「あなたが写真を持って行ったの?」
証 人「いいえ。検事さんと一緒に行きました」
裁判長「検事と一緒に病院に行き、(被害直後の)写真を見せたわけ?」
証 人「はい」
弁護人「最後の質問です。(酪酸を浴びたときに着ていた)レインコートは処分しましたね?」
証 人「はい。(ほかの乗組員に)『くさいだけだから』と言われました」
弁護人「いつ処分しましたか」
証 人「たぶん2月12日だったと思います」
弁護人「翌日ですね」
証 人「はい」
 《続いて検察側の最終尋問に移る》
検察官「被告がランチャーを撃ったときの状況ですが、インパルス銃を撃ちましたか」
証 人「はい」
検察官「痛みを感じたときと、インパルス銃を撃ったときの前後関係を確認させてください。弁護人の質問に混乱していたようですから。端的に答えてください。どっちが先ですか」
証 人「SSが先に撃ってきました」
検察官「聞きたいのは、痛みを感じたとき、インパルス銃を撃ったときのどちらが先かということです」
証 人「インパルス銃を撃ってから痛みを感じました」
検察官「時間の間隔は?」
証 人「1、2秒ぐらいです」
検察官「当時はどんな靴を履いていましたか」
証 人「長靴です」
検察官「靴底の構造は?」
証 人「ゴムより堅い生地です」
 《検察側の最終尋問が終了した。続いて多和田裁判長の両脇に座る男女の裁判官が証人に尋問していく》
裁判官「2月11日に目のかゆみや痛みを感じてから顔を洗うまで、どれぐらいの時間がありましたか」
証 人「大体5分かかったかどうかぐらいだと思います」
裁判官「その5分というのは、もともといた左舷上甲板から船首に移動して船内のシャワールームに行くまでの時間ですか」
証 人「はい」
裁判官「その後は通常業務に戻ったんですか」
証 人「はい。多少痛みはありましたが、戻らないと行けなかったので戻りました」
 《ベスーン被告は、前屈みになって裁判官をじっと見ている。尋問は、証人が事件当日に装備していたインパルス銃の中身に移った》
裁判官「インパルス銃の中身が自分の顔にかかることもありえますか」
証 人「そうですね。全くかからないってことはないかもしれません」
裁判官「これまでインパルス銃に水以外のものを入れたことはありますか」
証 人「いや、ありません」
裁判官「先ほどシャワーで顔を洗ったと言っていましたが、その水はどこからの水ですか」
証 人「もともと船のタンクがあって、そこから使っていると思います」
裁判官「タンクの水はインパルス銃の水と同じですか」
証 人「船内にはタンクがいろいろあって、どこのタンクの水を使っているかは分かりません」
 《裁判官は、証人らがやけどをした原因について、ベスーン被告の発射した酪酸以外だった可能性があるか確認したかったようだ。続いて酪酸を浴びた直後の状況について質問していく》
裁判官「目や顔の痛みを感じてから船首の方に行って船内に入ったんですよね? 船首に向かう途中で、被害の大きかった男性に近づいたんですよね?」
証 人「はい。うずくまっているところを見つけました」
裁判官「彼に近づくに連れて痛くなったり、痛みが弱まったりしましたか」
証 人「痛くなってきました」
裁判官「ところで、日本に帰ってきてから病院に行ったときに見せた写真は、いつの写真でしたか」
証 人「多分、事件の次の日の写真だと思います」
裁判官「シャワールームから出て現場の片付けをしたと言っていましたが、具体的には何を使ったんですか」
証 人「中和剤と聞いていますが初めて使ったので…。ほかに消火ホースやインパルス銃などを片づけました」
裁判官「酪酸の瓶の片付けはしていないんですか」
証 人「僕自身はしていません」
裁判官「中和剤をまいた範囲は?」
証 人「左舷側の瓶が破裂した辺り一帯です」
 《多和田裁判長と2人の裁判官による尋問はここで終わり、尋問は終了した》
裁判官「長時間おつかれさまでした」
 《裁判長が証人の労をねぎらうと、証人は足早に法廷を後にした》
裁判官「本日の審理はこれで終わります」
 《「分かりました」という意思表示をするかのようにベスーン被告は一度、頷いた。傍聴人が先に退廷する中、ベスーン被告はまっすぐ、検察側の方を見つめていた》
 《次回公判は28日午前10時から、引き続き証人尋問が行われ、起訴状で顔面を負傷したとされている男性乗組員と、母船「日新丸」に乗っていた船医が証言台に立つ予定だ》
=(完)


その1 その2 その3 その4 

28日【SS元船長 第2回公判】その1。SSのリンゴ砲攻撃に竹の棒で応戦?! 負傷した捕鯨船団の乗組員が証言 
posted by 大翔 at 23:42 | 青森 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 裁判 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

SS(シー・シェパード)元船長 初公判 その4 「エクスキューズ・ミー」 突然被告の口から出た言葉は…


《午後2時16分、多和田隆史裁判長が再開を告げ、検察側の男性証人が法廷内に姿を現した。黒っぽいスーツに青いネクタイ姿の証人は、やや足早に証言台に向かった。証人は事件当時、第2昭南丸に乗船していた32歳の船員だ。偽証しないことを宣誓する証人を、ベスーン被告がじっくりと見つめている》
裁判長「通訳が入っているので、質問の通訳が終わってから答えてください」
証 人「はい」
《それまでのイヤホンを通じた同時通訳から、一つの発言ごとに区切って通訳する方式に切り替えられることになった。検察官が立ち上がり、証人に質問を始める》
検察官「あなたは第2昭南丸に乗っていましたね?」
《女性の通訳が始めようとしたとき、おもむろに被告が声をあげる》
被 告「Excuse me」
《法廷内が静まりかえり、視線が一斉にベスーン被告に注がれる。ベスーン被告は同時通訳の音声が流れる左耳のイヤホンを指しながら、通訳にボソボソと訴えかける》
《通訳が「これはもう使わないんですね?」と確認すると、ベスーン被告はおもむろにイヤホンを外した。検察官はもう1度、同じ質問を証人に投げかけた》
検察官「あなたは第2昭南丸に乗っていましたね?」
証 人「はい」
検察官「日本時間午後11時ごろ、被告はゴムボートに乗って接近してきましたね」
証 人「はい」
検察官「被告は第2昭南丸の左舷に接近して、ゴムボートからランチャーで何かを撃ちましたね」
証 人「はい」
《証人の声がわずかにかすれた。ベスーン被告は手を前に組みながら、通訳の言葉に耳を傾ける》
検察官「あなたはどこにいましたか」
証 人「左舷のボートデッキに上がる階段の前にいました」
検察官「どうしてそこにいましたか」
証 人「SSの人たちが船に飛び込んでこないように警戒してました」
検察官「どういう装備で警戒していましたか」
証 人「防護ヘルメット、手袋、カッパなどを着て、インパルス銃を担いでいました」
検察官「インパルス銃とは?」
証 人「消火器だと聞いています」
検察官「圧縮空気で水を打ち出すのですか」
証 人「はい」
《証人は近くに乗組員2人がいて、約10メートル離れた場所に起訴状で顔面を負傷したとされている乗組員がいることを説明した》
検察官「被告がランチャーを撃ったのは目撃しましたか」
証 人「はい」
検察官「なぜランチャーを撃ったのだと分かりましたか」
証 人「撃ったときの音と、(ランチャーから)赤い煙が見えました」
検察官「被告はどういう行動を取っていましたか」
証 人「第2昭南丸に撃ったものが当たり、歓声を上げて喜んでいました」
《ベスーン被告は長いすの背もたれに右ひじを乗せ、上半身をやや右にひねるようにしながら座る。顔は通訳、証人へとせわしなく向けられる》
検察官「何が撃たれたと思いましたか」
証 人「酪酸だと思いました」
検察官「そう判断したのはいつですか」
証 人「(発射から)1、2秒後です」
検察官「変わったことがあったのですか」
証 人「目や顔が痛み、いつものように目が開けられなくなりました。酪酸の異臭が漂ってきました」
検察官「痛み、においを感じてどう思いましたか」
証 人「自分の体と目の中に酪酸がかかったと思いました」
検察官「確認ですが、発射から痛みを感じるまでの時間はどれくらいありましたか」
証 人「1、2秒ぐらいです」
《検察官は、争点となっている酪酸と乗組員のやけどの因果関係を証言により裏付けようとしているようだ》
検察官「以前も酪酸の異臭をかいだことがありますか」
証 人「はい」
検察官「いつ、どういう機会で酪酸をかいだのかを説明してください」
証 人「2月11日の前にもSS側から酪酸を投げられました。2、3年前にも投げられています」
検察官「事件よりも前に酪酸を浴びたことはありますか」
証 人「ありません」
検察官「誰か別の人が浴びたところを見たことはありますか」
証 人「はい。2、3年前に乗っていた船に酪酸が着弾し、酪酸を浴びた人が『ヒリヒリ』するから気をつけろ」と言っていました」
検察官「そうした経験から、事件当時はどう考えたのですか」
証 人「自分の顔に酪酸がかかり、ヒリヒリしていると思いました」
検察官「ランチャーが撃たれる前にそのような症状はありましたか」
証 人「ありませんでした」
《検察官は酪酸を浴びた後の行動について証人に質問していく》
検察官「その後はどうしましたか」
証 人「痛みを我慢できず、船内に入って洗いました」
検察官「船内に入る前のことを聞きたいのですが、周囲にいた人に異変はありましたか」
証 人「同じような痛みを訴えていました」
検察官「船内に入ったということですが、当時は甲板で(SSを)警戒する任務をしていましたよね?」
証 人「いつものように任務をすることはできませんでした。目も開けられず、顔も痛く、とても任務をすることができませんでした」
検察官「任務を止めて、どうしましたか」
証 人「船首の方向に走っていきました」
検察官「(起訴状で負傷したとされている)乗組員は見ましたか」
証 人「はい」
検察官「様子は?」
証 人「ひざをついてうずくまっていました。酪酸をかぶったと思いました。うなるような声が聞こえました」
検察官「(乗組員の)容体を調べたり、手当をしたりはしましたか」
証 人「そこではしていません。自分も酪酸がかかり、自分の顔を流すことが先でした」
《ベスーン被告は手を前で組み、表情を変えずに証人を見つめている》

「ほおは真っ赤で水ぶくれが」 酪酸“攻撃”の痛々しい顔に驚愕証言

《シー・シェパード(SS)の抗議船「アディ・ギル号」元船長、ピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)が侵入した「第2昭南丸」乗組員で、酪酸による軽傷のやけどを負った男性に対する証人尋問が続いている。証人は、顔などに酪酸を浴びてシャワー室に行った後の様子を、はっきりとした口調で説明していく。ベスーン被告(45)は、視線を傍聴席や女性通訳の方に向けたりして落ち着かない様子だ》
検察官「あなた以外にシャワールームで顔を洗った人はいましたか」
証 人「2人いました」
検察官「そのときのシャワールームの状況は?」
証 人「全身に酪酸がかかっていたので酪酸のにおいですごかったです」
検察官「ところでシャワールームに鏡はありましたか。自分の顔の様子は見ましたか」
証 人「はい。目が充血していて、両側のほおが赤くなっていました」
《酪酸による“攻撃”を受けた被害者の男性が、生々しく自らの体験を語る。続いて、乗組員の中でもっとも被害が大きく、起訴状で負傷者とされた男性についての質問に移った》
検察官「シャワールームに入った彼の顔を見てどう思いましたか」
証 人「ワッ! という感じでした。いつもとは顔つきが違っていて驚きました」
検察官「どう違ったのか説明してください」
証 人「まぶたは充血、ほっぺも真っ赤で、ほっぺの真ん中は水ぶくれができていました。自分の状態と比べても全然違いました。いつもの顔と違って本当に痛そうな顔でした」
《午前中の法廷でも顔写真が映し出された、酪酸で顔が真っ赤に腫れた男性乗組員。同じ被害者から見てもひどい様子だったことが分かる。ベスーン被告は、赤みがかった顔をして落ち着かない様子で、前屈みになったり、きょろきょろしたりして、多動な様子を見せている》
検察官「あなたはシャワールームにどれくらいいましたか」
証 人「40分ぐらいです」
検察官「その間、何をしましたか」
証 人「とにかく顔を洗え、との指示だったのでそうしました」
検察官「40分間も洗い続けたのですか」
証 人「いったん洗っても痛みがぶり返すので、顔を鏡で確認したり洗ったりを繰り返しました」
検察官「翌日は痛みは治まりましたか」
証 人「まだほっぺがざらざらしたり、ヒリヒリした感じが残りましたが、その次の日には治まりました」
《痛みは2日後にようやく引いたようだ。次に証人が酪酸を浴びた際の服装や装備についての質問に移った》
検察官「ヘルメットにはフェースガードがついていましたか」
証 人「はい。ついていました」
検察官「フェースガードで顔全体が覆われていましたか」
証 人「そのときは上くちびるまでしか降ろしていなかったです」
検察官「なぜ下まで降ろしていなかったのですか」
証 人「ふだんから下まで降ろしていなかったというのと、下まで降ろすと圧迫されて息苦しいような気がするので」
《検察官は、男性が酪酸を浴びた際、フェースガードを一番下まで降ろしていなかったことを明確にしようとした。続いて、酪酸を浴びたときの様子を再現した際の服装の写真が、検察官から裁判長や弁護側に配られた》
検察官「今年2月11日に酪酸を浴びたときの服装はこの通りですか」
証 人「はい」
検察官「着ているヘルメットやカッパは事件当日のものと全く同じものですか」
証 人「違います。(現物の)ヘルメットは海上保安庁が証拠として持っていったと聞きました。着ていたカッパは、においがとれなくて着られなかったので船上で焼却処分しました。ヘルメットもくさかったですが、予備がないのでよく洗いました」
《酪酸のにおいの強さとしつこさを物語るエピソードだ。続いて、SS鎮圧用に乗組員が装備している、圧縮空気で水を発射するインパルス銃のタンクの中身などについて質問していく。SSは、インパルス銃から発射された催涙成分を含む水が、乗組員のやけどの原因だと主張している》
検察官「あなた方のやけどの原因について、インパルス銃の催涙成分が原因と言っているのは知っていますか」
証 人「はい。知っています」
検察官「あなたのインパルス銃には催涙成分は入っていますか」
証 人「入っていません。真水です。タンクの中に水を入れるのは目の前で確認しています」
検察官「あなたが撃ったインパルス銃が、最も被害の大きかった男性にかかった可能性はありますか」
証 人「ないと思います」
《検察官は、インパルス銃がやけどの原因とするSSの主張を真っ向から否定する構えを見せた》


その1 その2 その3 その5へ続く 
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SS(シー・シェパード)元船長 初公判 その3 衝突の瞬間「ガツッ」「AG号現在ストップ」叫ぶ乗組員 


《約1時間20分の休廷を終え、午後の審理が始まる。午前中満席だった傍聴席には空席も見られる》
《午後1時20分、多和田隆史裁判長が、環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」の抗議船「アディ・ギル号」元船長、ピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)の入廷を促し、ベスーン被告が向かって左手の扉から入廷してきた。静かに弁護人の前の長いすに座ったベスーン被告を見届けると、多和田裁判長は開廷を告げた。午前に引き続き、証拠調べが行われる》
検察官「第2昭南丸船長に対する検察官調書です。被告が第2昭南丸に侵入したときの状況、被告を監視下においたときのこと、被告がネットを切ったナイフが見つけられなかったことなどについて述べています。処罰感情については、侵入されたことや監視下において世話をしたことで労力が割かれ、予定していた調査ができなかったことから、厳重な処罰を求めています」
《続いて、平成22年1月6日に第2昭南丸とアディ・ギル号が衝突したときの様子を録画した映像が法廷内の大型モニターに映し出された》
検察官「第2昭南丸が警告音を出したり、放水したりしてアディ・ギル号を通り過ぎようとしたところ、アディ・ギル号が衝突してきたことについてのビデオ映像を映写します」
《ここまで背筋を伸ばして検察官の方を向いて落ち着いた様子だったベスーン被告だが、ビデオ映像を映すという検察官の発言を受けてか、ノートを取り出して何かをメモしながら笑みを浮かべた》
《乗組員「本船、徐々にAG号(アディ・ギル号)に近寄っています」》
《第2昭南丸が放水しながらアディ・ギル号の横を通り抜けようとする映像が流されるが、次の瞬間、「ガツッ」という音ともにアディ・ギル号が、第2昭南丸の右側面に衝突して大破する映像が生々しく映し出された》
《乗組員「AG号接触しました!本船の前に出てきて接触しました。AG号邪魔をしてぶつかってきました。AG号現在ストップ。AG号、AG号接触です」》
《ビデオを撮影している乗組員の男性も緊迫した大きな声で緊急事態を告げている。ベスーン被告は、傍聴席の方にしきりに目をやっている。接触時の映像は終了した。続いて、第2昭南丸所有会社社長の検察官調書などが示されていった》
検察官「水産庁資源管理部長からは調査捕鯨に対する日本の考え方が述べられています。調査捕鯨を非難する(国際捕鯨委員会での)決議は多数決によるもので、法的拘束力はなく、逆に海上の安全に関する決議は全会一致で可決されています」
《今後、ベスーン被告が主張するとみられる調査捕鯨妨害行為の正当性に対する日本の立場が表明された》
検察官「日本鯨類研究所の調査部次長に対する検察官調書では、前回までのSSによる妨害行為と今回の妨害行為について述べられています。これまで計5名が熱傷を負い、今回は執拗(しつよう)な妨害で31日間妨害され、予定海域の3分の2しか調査できなかったと供述しています」
検察官「平成21年12月11日、SS抗議船「スティーブ・アーウィン号」から第2昭南丸にレーザーが照射された様子の写真を示します。専門家によると出力が強く、双眼鏡で見ると失明の可能性もあるとのことです」
《緑色のレーザーが照射されている写真が映し出された。一見すると危険な光には見えない。続いて、同様にSS抗議船が、妨害行為を行う様子の写真が映し出されていく。ベスーン被告が調査母船「日新丸」に赤い塗料をランチャーで打ち込んだ様子の写真も映し出された。続いて、多和田裁判長が証拠物の提示を指示した》
裁判長「証拠物を今から示します。被告人は前に出てきてください」
《検察官が、DVDや被害にあった乗組員が着用していたヘルメットなどをベスーン被告に提示していく》
検察官「こちらが酪酸の入った瓶の破片です」
《ベスーン被告は瓶の入ったポリ袋に顔を近づけて確認する。においも確認したのだろうか》
《検察官は続いて、長さ30センチほどの黒いナイフを取り出した。恐る恐るナイフのさやを抜いて、ベスーン被告に示した》
検察官「これはあなたのですか」
被 告「そうですね。イエス」
《ベスーン被告は、即座に日本語で答えた後、英語で答え直した。検察官はさらに続けて質問した》
検察官「このナイフでネットを切って侵入しましたか」
被 告「That was correct(その通りです)」
《続いて、ベスーン被告の身上などについての証拠調べに移った》

ナイフ2本のうち1本は海中に 「ワトソン代表からの指示」随所に

《男性検察官が証拠の説明を続けている。いずれも「乙号証」と呼ばれる証拠で、環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」の抗議船「アディ・ギル号」元船長、ピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)の供述調書などだ》
《検察官の説明は、女性通訳の同時通訳でイヤホンからベスーン被告に伝えられている》
検察官「乙2号証から4号証は被告の供述調書で、犯行の準備などについて述べたものです」
《ベスーン被告は今年1月6日、船長を務めていたアディ・ギル号が調査捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」と衝突し、大破したことから、同船への侵入を計画したという。検察官が調書の一部を読み上げた》
検察官「私は第2昭南丸の船長にアディ・ギル号衝突の責任を問いたいと思っていました。そこで、ポール・ワトソンに『(船に)乗り込んだらどうか』と言われました」
《SSの代表であるポール・ワトソン(59)については、東京海上保安庁が傷害や威力業務妨害などの容疑で逮捕状を取っている。ベスーン被告は、ワトソン代表と電話やメールで計画について相談。他のSSメンバーが相談に加わったこともあるというが、このメンバーについて、ベスーン被告は「迷惑がかかるので言いたくない」と名前を明かさなかったという》
検察官「ポールから『(第2昭南丸に接近するための)ジェットスキーのクルーは誰がいいか』と聞かれたので、信用できる者の名前を言いました」
《検察官は調書を読み上げた後、「この部分については弁護側が信用性を争うとしています」と付け加えた》
検察官「ジェットスキーにはアニマルプラネットのジョーという者も乗ることになりました」
《「アニマルプラネット」とは、英国の国営テレビ局「BBC」などが制作しているドキュメンタリー番組だ。この番組のカメラマンも、水上バイクに同乗したという》
検察官「第2昭南丸への侵入が成功し、スティーブ・アーウィン号(SSの抗議船)の乗員に連絡したところ、『ポールがよくやったと言っていた』と伝えられました」
《続いて検察官は、同船への侵入方法について、ベスーン被告が詳細に供述した調書を読み上げた。ベスーン被告は同船に侵入しようとしたが、一度失敗して海に転落。水上バイクに拾われ、再度侵入を試みたという》
検察官「ジェットスキーのへりに足をかけ、船のネットをつかみました。今度は、片方の足を昭南丸のへりにかけることに成功しました。私は足に装着したナイフを手に取り、足元の高さまで下から上に向かってネットを切りました。さらに、上から下に向かってもネットを切り、そこから船に侵入しました」
《ベスーン被告は同船に侵入後、持っていた2本のナイフのうち1本を海に捨てたという。ネットを切断するのに使った大型のナイフは捨てずに船内へ持ち込み、操舵室(そうだしつ)に隠していた。このナイフについては「大切なナイフなので捨てなかった」と話したという》
検察官「ランチャーで酪酸入りの瓶を投擲(とうてき)した際は、乗っていたゴムボートの操縦者に指示を受けていました。ただ、この操縦者はスティーブ・アーウィン号に指示を受けていました。つまり、私はスティーブ・アーウィン号の船長であるポール・ワトソンの指示を受けていたということです。操縦者については、名前を言いたくありません」
《仲間をかばっているのか、ベスーン被告はSSメンバーの名前について、ほとんど供述していないようだ。一方、調書の端々からはワトソン代表が妨害活動全体を指示していた様子がうかがえる》
検察官「ポール・ワトソンからランチャーについて指示を受けたのは、昨年6月に開かれた会議です。ワトソンは『ランチャーを用意しておけ』と言いました。私は、ポテトランチャーのことかと思いました」
《「ポテトランチャー」とは聞き慣れない単語だが、ベスーン被告いわく、母国のニュージーランドでは有名なおもちゃだという》
検察官「日本ではあまり知られていないかもしれませんが、ポテトランチャーは空気の力でポテトなどを飛ばすもので、10代の子供がよく使います。私もこれで遊んでいました」
《法廷内の大型モニターにランチャーの図面が表示された。空気の力で、物を押し出すといい、「ジャガイモならば最大70メートルぐらい飛ばせます」と検察官が説明した》
《この後、大型モニターに第2昭南丸が撮影した写真が表示された。ランチャーを持って、こちらをにらみつけるベスーン被告が映し出されている。何か叫んでいたのか口を大きく開けており、迫力がある。続いて表示された写真では、船から緑の光が出ている》
検察官「これはアディ・ギル号の船員がレーザーを使っている場面だと、被告は供述しています」
《さらに、検察官は傷害罪についてベスーン被告が弁解したという調書を読み上げた》
検察官「第2昭南丸の乗員らが使っていたペッパースプレーが(けがの)原因だと思います。乗員らのヘルメットにはフェースガードがついていたので、酪酸はかからないと思います。けがをさせようという気持ちはありませんでした。(酪酸入りの瓶は)人のいないところに撃ったので、瓶の破片などが人に当たるとは思いませんでした。酪酸は人体に無害だと思っていました」
《ペッパースプレーとは、妨害行為対策などで使うスプレーのようだ》
《この日の公判の冒頭で行われた罪状認否で、ベスーン被告は傷害罪についてのみ「いかなる人にも傷害を負わせる意図はなかった」と否認している》
《このほかの調書など、数点の証拠についての説明が行われた後、裁判長が10分間の休憩をとると告げた。ベスーン被告は疲れた様子も見せず、傍聴席を見渡していた》


その1 その2 その4へ続く その5 
posted by 大翔 at 21:36 | 青森 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 裁判 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

SS(シー・シェパード)元船長 初公判 その2


《検察側、弁護側双方の冒頭陳述が終了し、検察官による証拠調べが始まった。検察官は、ゴムボートに乗船したピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)の写真や被害者の写真などを提示していく。法廷内の大型モニターに写真や、ベスーン被告が侵入した「第2昭南丸」の船内の見取り図などが映し出される。検察官ははっきり通る声で説明していく》
検察官「これは各船の位置を図面に落としたものです。画面に映します」
《調査船団とシー・シェパード(SS)抗議船「スティーブ・アーウィン号」やゴムボートなどの位置が図示された》
検察官「被告のゴムボートはスティーブ・アーウィン号から出て、第2昭南丸に向かってきました。この写真ではスキンヘッドが特徴的な被告の姿が確認できます」
《ゴムボート上のベスーン被告の姿が確認できる写真が映し出された。検察官の「スキンヘッドが特徴的な」の表現に、傍聴席から少し笑いも聞こえる》
検察官「2月11日10時55分の時点から説明します。ゴムボートは第2昭南丸の右から接近し、右手で何かを投げました。今度は左側から接近し、また何かを投げました。どちらもネットに遮られて届きませんでした。すると被告はランチャーを取り出し、酪酸入りの瓶を発射しました」
《ベスーン被告は、背筋を伸ばしたり、前屈みになって両肘をひざの上に乗せて両手を握ったり、少し落ち着かない様子で検察官の説明を聞いている》
《続いて、酪酸を浴びた乗組員の男性が第2昭南丸に乗船していた当時の服装の写真が映し出された。白色のヘルメットにオレンジ色のライフジャケット姿だ。検察官はヘルメットの現物も提示した》
検察官「ヘルメットのフェースガードは開閉式です」
《弁護側が主張する「乗組員はフェースガード付きのヘルメットを着用しており、酪酸でけがをしたことには合理的な疑いが残る」などとする主張に反論する意図があるようだ》《乗組員の姿が再び映し出された。手に放水銃を持っている。検察官は、放水銃で放水される成分の分析結果も説明。刺激物は含まれていなかったとした》
検察官「液体が放たれた後、緑のペンキはまだらに変色しました」
《ベスーン被告が投げた酪酸によって、甲板に塗られた緑のペンキが変色した様子が、写真とともに明らかにされた。酪酸の濃さや危険性をうかがわせる写真だ。続いて、第2昭南丸の見取り図とベスーン被告が酪酸入りの瓶を投げようとした目標地点を示した図が映し出された》
検察官「まだ、においが残っていますが…。破片からは酪酸が検出されました」
《検察官は、ポリ袋から茶色の酪酸の入っていた瓶の破片を取り出した。事件から3カ月半がたった今も強いにおいは残っているようだ。続いて、酪酸の人体に与える影響などについて説明した。水泡や皮膚の裂傷を起こすため、体のあらゆる部位への接触を回避すべきものだとした》
検察官「被害者の被害当日の写真を映します。ほおが赤くなり、水泡ができているのが確認できます」
検察官「翌日の写真も映します。赤くなっていたほおは収まっていますが、水泡は翌日も確認できます」
《丸刈りの乗組員の男性の顔写真が映し出された。両側のほおが真っ赤になり、水泡ができているのが確認できる。痛々しい姿だ》
検察官「乗組員の男性がマストの上からビデオでベスーン被告がランチャーを撃つ姿を録画していました。録画していた様子をこれから再生します。ランチャーを発射した瞬間や混乱した船内が映っています」
《大型モニターに、第2昭南丸のマストから録画された、スティーブ・アーウィン号の姿やベスーン被告のゴムボートが第2昭南丸に接近してくる緊迫した様子の動画映像が映し出される》
《乗組員「スティーブ・アーウィン、スピード落としているようです。(抗議船の)ボブ・ワーカーも落としています」》
《乗組員「ゴムボートが近づいてきました。放水で応戦しています。本船に何か投げてきました。ものはわかりません。ボート旋回して何か投げました。右から接近してきます。ボート左舷側に来ました。また何かを投げようとしています」》
《ゴムボートは、先ほどの検察官の説明の通り、接近してきて何かを投げた後、旋回して再び何かを投げた》
《元船長のピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)が乗る抗議船「アディ・ギル号」が調査捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」に接近してくる様子を同船の男性乗組員が撮影した映像が法廷内の大型モニターに流れ、状況を説明する乗組員の声が響く》
《乗組員「AG(アディ・ギル)号が左舷に近寄ってきます」》
《白波をたてながら、急速に接近するアディ・ギル号。中央付近にベスーン被告の姿があった》
《乗組員「AG号の船長を確認しました」「平行しています。近寄ってきています」》
《ここでベスーン被告が動き出す。画面からは何をしているかは把握できないが、乗組員が緊迫した状況を伝える》
《乗組員「ランチャーのようなものを準備しています。ランチャーのようなものを構えています」》
《併走するアディ・ギル号がさらに近づく》
《乗組員「ランチャー発射。AG号は離れていきます」》
《落ち着いた声で状況を説明する乗組員。船内では「大丈夫?」「何か落ちてきた」という声が飛び交い始める》
《乗組員「何か被弾しました」「酪酸を乗組員がかぶったようです。酪酸入りのものが投げ込まれました。乗組員に当たったようです。下に行って確認してきます。終了します」》
検察官「これは乗組員がマストから撮影したビデオです。被告はランチャーで酪酸入りの瓶を発射して、『ヒャッホー』と歓声を上げて立ち去っていきました。続いて、(撮影の)乗組員が(マストから)下りて船内の状況を撮影した映像を映写します」
《洗面所が映し出される。男性乗組員3人が蛇口の前に立ち、顔や目を懸命に洗っている。先ほど撮影していた男性乗組員が説明を始める》
《乗組員「顔が赤くなり、目にも入ったようです。清水で洗っています。とても危険です。危険です」
 「上着を脱いだほうがいい。上着にもついているから」》
《3人は指示に従い、上着を脱ぎ始める》
《乗組員「顔がだいぶ腫れ、赤くなっています。ヒリヒリ痛いようです」》
《映像は5分ほどで終了し、検察官は顔を洗っていた3人のうち、真ん中に立っていたのが負傷したとされる乗組員(24)であることを説明した。ベスーン被告は疲れたのか、両目の内側付近をもみほぐした。検察官は続いて、乗組員たちの供述調書の要旨を読み上げていく》
検察官「近くで破裂音がして、酪酸のにおいが立ちこめた」
 「(アディ・ギル号は)左舷から15メートルぐらいのところで平行していて、(ベスーン被告が)ランチャーを斜め上に構えているのが見えた。『バーン』という音がして、ランチャーから赤い煙があがった。(ベスーン被告は)『ヤッホー』とガッツボーズをしていた」
「ランチャーを構えているのが見え、『来るぞ』と叫ぶ声が聞こえた」
《検察官は引き続き、第2昭南丸の船長の供述調書を読み上げる》
検察官「負傷者の救護のため船団から離脱しました。被告の自分勝手な危険な行為で許せません。厳しい処罰を望みます」
《続いて検察官は負傷者の診察を行った母船「日新丸」の船医の供述調書の読み上げに移るが、はじめに前置きした》
検察官「これは信用性が争われています」
《この船医は昭和50年に医師免許を取得。平成14年から4年間、民間の客船で船医を勤めていたという。検察官は船医が豊富な経験、知識を持っていることを強調したいようだ》
検察官「私は外科医で皮膚科医ではありませんが、やけどの診察や治療をしたことがあります。やけどは特殊な例でなければ診察可能です。船ではスチームやけどの診察をよくやりました」
《船医は乗組員のやけどを全治1週間と診断した。その経緯を説明する。第2昭南丸の船長から無線で異変を知らされた船医はデジタルカメラで撮影した患部の写真をメールで受信し、無線で問診した》
検察官「左ほほに水ぶくれがあり、ジュクジュクしているということでした。右目もゴロゴロしている状態だと説明していました。両目は赤く充血していました。水ぶくれなどから、全治1週間の熱傷と判断しました」
《証拠調べは続いて、ベスーン被告が第2昭南丸に侵入した様子を船内で説明する写真に移る。大型モニターに映された写真の中で、ベスーン被告は自らが切り裂いたネットを指さしていた》
検察官「ナイフで下から上に切り裂きました」
《ネットを切り裂いたベスーン被告が手すりを乗り越えて船内に侵入する様子を説明する。そして、船内の見取り図が映され、ベスーン被告が侵入した場所や、乗組員に発見された場所などが図示された。続いて、ナイフを押収した状況の説明が行われた》
検察官「被告は客室内で逮捕され、客室内の捜索が始まったとき、足首を指してナイフを隠し持っていることを告げました」
《押収されたナイフの写真がモニターに映し出される。検察官はナイフの全長が33センチ、刃の長さが19センチだったことを説明した。証拠調べは続くが、午前11時55分、多和田隆史裁判長が口を開いた》
裁判長「(午前中は)ここまででいいですね」
《裁判長は午後1時15分からの再開を告げた。ベスーン被告は通訳の女性の顔を見ながら、静かにうなずいていた》


その1 その3へ続く その4 その5  
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SS(シー・シェパード)元船長 初公判 その1


 《国際条約に基づく合法的な日本の調査捕鯨活動に対する妨害行為が初めて裁かれる−。環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」のメンバーによる日本の調査捕鯨妨害事件で、艦船侵入や傷害など5つの罪に問われたSS抗議船「アディ・ギル号」元船長、ピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)の初公判が27日午前10時2分、東京地裁(多和田隆史裁判長)で始まった》

裁判長「名前を述べてください」
被 告「ピーター・ジェームス・ベスーンです」
裁判長「生年月日はいつですか」
被 告「1965年4月4日です」
《女性通訳のやや早口の通訳の後、速やかに答えていくベスーン被告》
裁判長「国籍はどこですか」
被 告「ニュージーランドです」
裁判長「日本における住所はありますか」
被 告「ございません」
裁判長「職業は何ですか」
被 告「キャプテン(船長)です」

ここで検察官が起訴状朗読

裁判長「それではこれから事件に対する被告の陳述に入ります」
《いよいよ罪状認否が始まるようだ。多和田裁判長は、黙秘権について説明した後、ベスーン被告に語りかけた》
裁判長「それでは尋ねます。先ほど検察官が読み上げた起訴状の事実について、どこか違うところがありましたか」
被 告「はい。まず傷害罪については否認します。私はいかなる人にも傷害を負わせる意図はなかったからです」
《ベスーン被告は引き続き、落ち着いた様子で、通訳の方を見ながら発言を続ける》
被 告「あと、酪酸入りの瓶を投擲(とうてき)したことは認めますが、その背景については、いろいろ事情があるので、審理の中で明らかにしていきます。銃刀法違反は認めます。ネットを切断したことも認めます」
裁判長「艦船に侵入した事実も認めますか」
被 告「第2昭南丸の中に入ったことは認めますが、それには正当な理由がありました」
《通訳を挟んでいるためか、質問がややかみ合っていないようだ。多和田裁判長が再度尋ねる》
裁判長「侵入防止用ネットをナイフで切断して、艦船に侵入した事実も認めますか」
被 告「はい」
《多和田裁判長は納得したようだ。弁護人の意見を尋ねる》
弁護人「傷害の故意、因果関係、結果の程度については争い、そのほかの事実については認めます」
検察官「被告は1965年、昭和40年にニュージーランドに出生し、同国内に妻子が居住しています」
《続いて検察官は、調査捕鯨についての説明に入る。財団法人「日本鯨類研究所」は農林水産大臣の特別許可を受け、南極海で定期的に調査捕鯨を行っている。また、検察官はSSの活動についても触れた》
検察官「SSは平成18年1月ごろから毎年、捕鯨調査を妨害するためにロープを投下してスクリューにからませたり、酪酸入りの瓶の投擲(とうてき)、船内への侵入などの行為を行っています」
《酪酸は菓子やアルコール飲料の香料として使われる液体で強い臭気があり、SSが妨害行為に使用しているものだ》
検察官「被告は21年7月ごろからSSに入り、同年12月からアディ・ギル号などで妨害行為を行っていました。鯨類研究所は21年11月から22年4月まで、調査母船「日新丸」など5隻の調査捕鯨船団を南極海に派遣しました。SSは21年12月17日ごろから、アディ・ギル号などでガラス瓶の投擲やレーザー光線の照射などの方法で、捕鯨調査への妨害を行っていました。被告は、SSによる妨害排除業務を行っていた乗組員らの近くに酪酸入りのガラス瓶をランチャーで投擲して破裂させ、強い異臭や刺激をもたらす酪酸の影響で乗組員らの業務を妨害しようと企てました。そこで21年2月1日午後11時ごろ、ゴムボートで第2昭南丸の左方から接近し、甲板上に多数の乗組員がいることを現認しながら、ランチャーを使い、目や皮膚に接触すると熱傷の原因になる危険な液体である酪酸入りのガラス瓶を発射したのです。これにより、○○(乗組員、法廷では実名)は顔面に全治1週間の化学熱傷を負い、他の乗組員らも痛みで目が開けられないほどの症状でした。第2昭南丸とアディ・ギル号が衝突した責任を追及するという名目で、第2昭南丸の船長らと接触する場面を、SSを取材するために同行していたドキュメンタリー番組のカメラマンに撮影させるなどの目的で、同船に無断で侵入することを企てました」
《検察側の冒頭陳述は約15分で終了。ベスーン被告は、後ろを振り向いて弁護人に何か問いかけている。この後、証拠について多和田隆史裁判長が確認した》
裁判長「甲号証は44点を請求されるということですね」
検察官「はい」
裁判長「弁護人は、医師作成の診断書は全部不同意で、乗組員の調書は同意するが信用性を争うと。被告の調書は任意性を争わないが、信用性を争うため一部不同意ということですね?」
弁護人「はい」
裁判長「検察官、被告の供述調書の不同意部分はどうしますか」
検察官「被告の署名もありますし、刑事訴訟法に基づいて請求します」
裁判長「では、刑事訴訟に基づいて採用します」
弁護人「調査捕鯨については、国際捕鯨委員会から捕殺を伴う調査捕鯨の中止を要求する決議が複数回にわたって出されているように、これに反対する意見が国際社会において有力に存在しています。また、わが国でも賛否両論の意見が存在します。被告は、調査捕鯨が国際捕鯨取締条約に違反するものと考え、これを阻止するためにSSの一員として妨害行為に参加していました。被告は人に傷害を負わせようという気持ちはなく、酪酸を投擲することで乗組員がこの異臭を除去する業務に追われ、第2昭南丸がスティーブ・アーウィン号(SSの抗議船)に接近することを阻止しようとしたのです。また、被告は酪酸が人体に傷害を及ぼす可能性のある物質との認識はなく、むしろリンゴやレモンよりも酸度が弱いものとSSのメンバーから知らされていたのであり、酪酸が人体に傷害を及ぼす危険性についての認識はありませんでした」
《また、乗組員のけがとの因果関係についても疑問を呈した》
弁護人「酪酸瓶が命中した壁面と○○のいた位置は直線距離で約8・5メートル離れており、また、○○はフェースガードのついたヘルメットをつけており、被告の行為と○○の傷害との間に因果関係を認めることは、合理的疑いを差し挟む余地があります」
《さらに、ナイフを所持していた銃刀法違反罪については、「東京港に到着した後、海上保安官にナイフを所持していることを自ら申告しており、自首が成立します」と主張した》

その2へ続く その3 その4 その5  
posted by 大翔 at 16:58 | 青森 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 裁判 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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